「西から昇ったおひさまが~東へ沈む~」といえば、かの有名なアニメ「天才バカボン」の主題歌です。
ありえないことを歌ったはずの名曲ですが、それをまじめに研究してありえることだと突き止めた人物がいました。
しかも、中学3年生。
「西から昇ったおひさま」見えるのだ 中3の計算が表彰
「西から昇ったおひさま」が見たい!! 青森県弘前市の弘前大学教育学部付属中学校3年の工藤優耀(ゆうよう)君(15)がそんな研究テーマに取り組み、一般財団法人理数教育研究所(事務局・大阪市)が主催する「算数・数学の自由研究作品コンクール」中学校の部の最優秀賞に輝いた。常識を覆す発想は、ある人気アニメの主題歌がヒントになった。
(朝日新聞DIGITAL・佐藤孝之 2019年1月20日掲出)
思いつきだけで言うなら誰でもできますが、発生する条件をちゃんと数学的に計算して、間違いではないことを大人たちに証明して見せたのです。
では、その方法とは・・・。
まず、この現象が起こる条件を満たす場所として、スカイツリーを選びました。スカイツリーには高速エレベーターがありますから、駆け足で山を登るより有利ですね。
次にどういう条件であれば実現するのか。その裏付けに数学の定理を持ち出しました。また、エレベーターの上昇速度から、見える位置も三角比と理科の知識を総動員して示しました。
その計算を成り立たせるために、地球の形やスカイツリーの位置や方角などにはいくつかの仮定を設定してやりやすくしています。それも工夫の一つです。
基本的な理論が正しければ、おそらく実現するでしょう。あとは、計算式に現実の補正をかければ、いつどの位置で西からのぼる太陽が見えるのかは、おのずから導き出されます。
このことを数学的に証明した中学生は、すぐれた頭脳の持ち主と言えるでしょう。
ところで、筆者はパイロットの友人から太陽が西からのぼるのを見たという話を聞いたことがあります。
友人は高校時代の同級生で、この話をした当時は航空自衛隊で戦闘機パイロットでした。日本海上で戦闘訓練を終え、薄暮の中を基地に戻る途中、アフターバーナーをかけたところ、海に沈んでいた夕日がつるりと昇ってきたそうです。
そこまでしなくとも、旅客機に乗って西へ西へと飛べば、時間はどんどん逆回りしますから、一日のうちに何度か夕日をみることは可能な時代になりました。タイミングが良ければ、飛行機の窓から西からのぼる太陽を拝めるかもしれません。
世間を知っている大人はこういう安易な発想をするから、数学でキチンと物を考えることができないのですね。世俗的な知恵を振り回すから、能力が伸びないよい例かもしれません。
ボン ボン バカボン バカボンボン。(水田享介)