「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年10月26日
[606]「Tera・エネルギー」始まる

 お寺でエネルギーと言えば、パワースポットの話かと思いますが、もっと現実的な話です。

お寺のお坊さんたちが集まって、太陽光発電など再生可能エネルギーの売電事業に乗り出しました。

僧侶らタッグ 新電力に参入 TERA Energy
 気候変動や自殺(自死)などの社会的な課題に取り組んできた僧侶らが宗派を超えて設立したTERA Energy(京都市)が25日に記者会見し、新電力事業に乗り出すと発表した。現在、小売電気事業者の登録を申請中で、2019年4月にも中国・四国電力管内でパイロット的に事業を開始する計画だ。
(中略)
 広告費など事業運営の経費を節約することで、電金料金を電力大手に比べて2~3%安くするほか、地域の活動などに充てる「お寺サポート費」を生み出す。
日本経済新聞 2018年10月25日掲出)

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※おてらのでんき「TERA Energy 株式会社」 公式サイト

 これまでお寺のサイドビジネスは、墓地や駐車場、保育園経営など限られた土地活用にとどまっていました。

 突然のエネルギー事業への参入です。太陽光発電を手がけるならば設備投資も必要です。はたして経営は大丈夫でしょうか。

 TERA Energy(テラ・エナジー)公式サイト内の自己紹介では、

 クリーンなエネルギーを推進することで、
 四方よし〈売り手よし・買い手よし・世間よし・未来よし〉の
 社会の実現を目指します。

 と高らかに宣言しています。

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※「おてらのでんき」が目指すこと(公式サイトより)

 具体的にはどのような事業でしょうか。公式サイトではその事業モデルを紹介しています。

 使っていない土地や一般家庭の建物などに、TERA Energyが太陽光発電設備を設置します。土地や建物の所有者は設備費の負担はありません。ただし、そこからあがる売電益はTERA Energyのものとなります。
 設備の大きさによっては土地・建物所有者にも一部利益の還元があります。くわしくは以下をご覧ください。

 おてらのでんき > 太陽光発電システムの無料設置


 16年目になると、TERA Energyから土地・建物所有者に発電設備は無償譲渡されるので、将来的には電気を自分でまかなったり売電益を得ることもできるようです。

 たしかに関係者全員がすべてよしとなる「四方よし」の設計図が描かれています。

 先日のコラムでもご紹介したとおり、再生可能エネルギーの売電事業は、発電した電気を定額で買い取る法律があることで成り立っていますが、その原資は電気代に上乗せした「再エネ賦課金」です。国民の負担でなりたつビジネスです。いつまでこうした優遇政策が続くのでしょうか。

[602]秋からスタートできる「おひさまライフ」な生活
(2018年10月17日)


 また、太陽光発電設備のうち、太陽に晒されるソーラーパネルの寿命も気になります。現在の所、おおよそ17年(国の法定耐用年数)といわれていますが、寿命の長短は素材の品質、パネルの設計、生産品質などにより大きく異なります。

 寿命もさることながら、太陽光を電気に変える「変換効率」や「発電効率の耐久性(経年劣化)」という基本性能も見落とすことはできません。安価なパネルと品質保証のある高価なパネルでは、年月を経るとその収益差は大きく異なります。

 16年後もキチンと発電する設備を受け取れるかは、設備の基本性能と継続的なメンテナンスにかかっています。

 お寺に永代供養ならぬ、永代性能保証や永代メンテナンスを求めるつもりはありませんが、このテラエネルギービジネスは、双方がそれなりの知識と技術を持つ必要がありそうです。(水田享介)

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■関連リンク
おてらのでんき
TERA Energy 株式会社 公式サイト
https://tera-energy.com/

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