世界の三大キノコといえば、[トリュフ、ポルチーニ、マツタケ]だそうです。
トリュフはブタや犬を使って、土の中から掘り出すユニークな採種方法で知られています。またポルチーニは、イタリア料理には欠かせない素材として、人気の高い食材です。アニメやゲームなどのメルヘンの世界に登場する丸々とかわいい西洋風キノコのモデルはこの「フンギポルチーニ」のようですね。
※ベルギーの森で自生するポルチーニ(Wikipedia より引用/帰属: (c) Hans Hillewaert)
日本で生活していると、トリュフやポルチーニと出会うことはなかなかありません。それどころか、世界中で日本人しか食べていないといわれるマツタケも、日本にいながら一生に何度出会えるでしょうか。
筆者は(疑似)マツタケのお吸い物でそれらしき香りはなんとなく知っていますが、本物の国産マツタケの香りを嗅いだ経験は・・・おそらく皆無です。
※マツタケ
その理由は、言うまでもなく希少品が故にあまりにも高価だから。
これまであまたの研究機関、発明家がマツタケの人工栽培にチャレンジしてきましたが実現しませんでした。自然に生えてくるのを待つことしかできず、誰もが大量生産はできないだろうとなかば諦めの状態でした。
ところが今年、その常識を覆す大発明が成し遂げられたのです。
「バカマツタケ」の完全人工栽培に成功
多木化学は4日、マツタケに近い種類のキノコ「バカマツタケ=写真」の完全人工栽培に成功したと発表した。ブナ科の生きた植物と共生し栄養をやりとりする菌根菌タイプのバカマツタケは、完全人工栽培が困難とされてきた。林を使った栽培技術はあるが、室内の人工環境下で栽培に初めて成功した。食材として3年後の量産を目指す。
(中略)
培養は3カ月間。マツタケと同じ香り成分がある。完全人工栽培は虫食いもなく、高品質なバカマツタケを安定供給できる。
(NEWSWITCH 2018年10月5日掲出)
マツタケの頭に「バカ」がつくのが気になりますが、それでも香りと食感はマツタケと同等と言うことです。
はたしてマイタケやシメジ、エリンギのように、わたしたちはバカマツタケと店頭で日常的にお目にかかれる日がやってくるのでしょうか。
ところで量産化のその前に、バカマツタケメーカー様には「バカ」に代わる素敵な愛称を公募されることをおすすめします。
たとえば「しあわせマツタケ」とか、「平成マツタケ」とか、「21世紀マツタケ」とか。商品名にバカとつくものにわざわざ手を出す人はあまりいませんからね。
筆者が生きているうちに、「なんとかマツタケ」が特売の目玉として活躍することを願わずにはいられません。(水田享介)