「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年08月27日
[583]どんな熱戦も冷静に執筆するAI記者、甲子園に登場

 今年の夏の甲子園は、奇跡的な逆転劇を演じた金足農(秋田県立金足農業高等学校)フィーバーに沸きました。

 その一方で熱戦を伝えるメディアでは、新しい試みが始まっていました。

 コンピュータで戦評記事を自動作成するAIシステム、その名も「おーとりぃ」くんが、今年の甲子園でデビューしていたのです。

AIが高校野球の戦評記事を即時作成 朝日新聞社が開発
 スコアブックを読み込んで、勝敗を分けたポイントを読み解く戦評記事をすばやく書く――。そんなAI記者「おーとりぃ」が、朝日新聞社に誕生しました。いま、阪神甲子園球場で行われている第100回全国高校野球選手権記念大会の3回戦から、本格デビューします。
朝日新聞DIGITAL 2018年8月15日掲出)

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※朝日新聞DIGITAL 公式サイトより

「高校野球の戦評記事」書く"AI記者" 朝日新聞社など開発
 野球のスコアブックを読み込み、勝敗が決まったシーンを分析して戦評記事を書く"AI記者"「おーとりぃ」を、朝日新聞社と株式投資サイトを運営するみんかぶが共同開発した。「第100回全国高等学校野球選手権記念大会」(8月5日~21日)の3回戦から朝日新聞デジタルのサイトで戦評記事を配信している。
 おーとりぃは、電子スコアブックのデータを基に高校野球の戦評記事を自動生成するシステム。朝日新聞社のスポーツ記者が甲子園球場でPCを使って入力したデータを基に、勝敗が決まったシーンや、注目すべきプレー、選手などを抽出し、文章化する。
ITmedia NEWS 2018年8月16日掲出)

 そのキャラクターデザインはともかく、期待の星、「おーとりぃ」くんの仕事ぶりはどうだったのでしょう。

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※ITmedia NEWS 公式サイトより

 「報徳学園が序盤で逆転し、そのまま逃げ切った。1点リードされた三回、2死一、三塁から暴投で同点に追いついた後、押し出しで勝ち越し。五回には、羽渕の右中間適時二塁打などで追加点を挙げ、試合を決めた。愛工大名電は一回、暴投で先取点を挙げ、四回には安井が大会第40号となる左越え本塁打を放ったが、及ばなかった。(AI記者・おーとりぃ)」
(朝日新聞DIGITAL・報徳学園―愛工大名電 「おーとりぃ」のAI戦評 2018年8月16日)

 これは8月16日の「報徳学園 VS 愛工大名電」の戦評ですが、逆転となった試合経過をわかりやすく書き表していますね。

 史上初の「逆転サヨナラ満塁本塁打」が話題となった済美(愛媛)VS 星稜(石川)戦の戦評はどうでしょう。

 「タイブレークまでもつれた打撃戦を済美が逆転サヨナラで制した。8回に6点差をひっくり返し、再びリードを奪われた13回も矢野の満塁本塁打で逆転。星稜は1回に南保の右適時打で先行。13回にも加点したが及ばなかった。」(ITmedia NEWS 前出記事より引用)

 史上初の展開となった試合にしては淡々とした表現で、筆者は少し物足りなく感じました。

 試合内容を説明するレベルには達してはいますが、過去の記録と比べての「大記録」「感動を呼ぶプレー」といった人間的な感情表現までは至っていないようです。

 史上初というせっかくの素材を生かしきれていません。「おーとりぃ」くんはいわゆる「読み応え」のある記事は少し苦手のようです。

 好むと好まざるにかかわらず、これからのニュースはこうしたAI記者が第一報を報じることになるのでしょう。

 好プレー、ナイスプレー、感動的プレー・・・。いずれもルールにのっとってプレーするなかで、高校生たちのひたむきな姿勢から生まれてくるものです。

 高校野球観戦の醍醐味は、そこにあるのではないでしょうか。AI記者の導入は、スポーツの楽しさを理解させてからでも遅くはないでしょう。

 とはいえ、ゲーム内容を理解するだけでなく、自らが楽しんだり感動したりできるのは、人間だけの特権と信じているのは、筆者だけではないはずです。(水田享介)

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■関連リンク
高校野球「おーとりぃ」のAI戦評(朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/sports/baseball/ai-news/

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