「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年04月09日
[528]宇宙船はなぜ地球再突入で熱くなるのか

 中国の宇宙ステーション「天宮1号」が2年ほど前から制御不能となり、その行方が心配されていました。このほどようやく南太平洋に墜落。人家のないところに落ちたことで、多くの国がほっとしました。

中国の無人宇宙実験室「天宮1号」、南太平洋上で大気圏突入
 【北京=西見由章】中国有人宇宙プロジェクト弁公室は2日、中国が独自の有人宇宙ステーション建設に向けて打ち上げた初の無人宇宙実験室「天宮1号」が同日午前8時15分(日本時間同9時15分)ごろ、大気圏に再突入したと発表した。落下地点は「南太平洋の中部エリア」とした上で、「ほとんどすべての部品は再突入の際に燃え尽きる」と強調している。
産経ニュース 2018年4月2日掲出)

 実は「天宮1号」は「ゼロ・グラビティ」(原題:Gravity/2013年公開)という映画に登場しています。この映画はデブリという宇宙に漂うゴミに母船を破壊され、宇宙飛行士たちが絶体絶命に陥るSFサスペンス。
 女性宇宙飛行士が命からがら避難した宇宙船が「天宮1号」を思わせる「天宮」であり、最後には再突入して燃え尽きてしまうところまで一緒ですから、この映画は今回の事態を予見していたのかもしれません。

 ところで、大気圏に再突入するときに、なぜ宇宙船は高温に晒されるのか、その理由をご存じでしょうか。

 「高速で地球の大気とぶつかるから、そのときに発生する摩擦熱ではないの」

 そう答える方が多いと思います。筆者も「天宮1号」の墜落までそう信じていました。

 ところが、宇宙船が高熱になる理由は全く違っていたのです。

宇宙ステーションキッズ
よくある質問と回答
質問(10):
 地球の大気圏(たいきけん)に突入した宇宙船は高温になりますが、この熱はどうして発生するのですか

回答:
 気体はギューッとつぶすと熱が発生し、引き延ばすと冷えるという性質があります。
 地球帰還(きかん)時に超高速で大気圏に突入する宇宙船は、すごい勢いで前方の空気を押しつぶします。その押しつぶされた空気中の分子同士が、激しくぶつかり合って熱が発生します。
 こうやって発生する熱を断熱圧縮(だんねつあっしゅく)といいます。つまり宇宙船と空気との摩擦(まさつ)による発熱ではありません。
JAXA・宇宙航空研究開発機構 公式サイトより)

2018040901.jpg
※JAXA・宇宙航空研究開発機構・公式サイトより引用

 一見、そうみえるから正しいはず。常識的にそう信じていた。みんなそう思っているはずだから・・・。

 実は、この「断熱圧縮」という原理、エアコンや冷蔵庫にも使われているのです。

雲のでき方とエアコンの深い関係?【修正版】
(「中学受験 理科 ── こうして学べば必ずわかる ──」 より)

 まちがった常識のまま信じられていることが、いかに多いのか。そのことがよくわかる一例です。

 宇宙の未来は、誤った常識にとらわれない子どもたちのものですね。(水)


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