「できる!」ビジネスマンの雑学
2017年04月19日
[382]東海道五十三次といえば、広重、お茶漬け。いえ、これからは北斎です。

 筆者のように昭和に育ったズブズブの昭和世代にとって、東海道五十三次といえば、あのお茶漬けを思い出します。
 そう、永谷園のお茶漬け。そして同梱の「東海道五十三次カード」です。

 このカードが20年振りに復活したそうです。

20年ぶり復活「永谷園の東海道五拾三次カード」、おやじ世代ばかりか当時知らない若者にも人気
 かつて、永谷園の定番商品「お茶づけ海(の)苔(り)」などに封入され、人気を博した「東海道五拾三次カード」が昨年11月、約20年ぶりに復活。ツイッターなどインターネット上では予想通り、「懐かしい」「これが噂の永谷園のカード」などと盛り上がっているが、意外にも若者の間でも「かっこいい」と人気だ。中高年層が昔を懐かしみ郷愁にひたるのは理解できるとして、いったいどこが若者たちの心をとらえているのか。(中島高幸)
産経WEST・【関西の議論】 2017年3月13日掲出)

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※筆者の手許にあるのは、永谷園の「北斎 富嶽三十六景」

 永谷園のおかげか、「東海道五十三次」は歌川広重(※1)の浮世絵が定着していますが、その固定観念を打ち破る美術展が「すみだ北斎美術館」(東京都墨田区)で始まりました。

 すみだ北斎美術館では開館記念展Ⅲとして「てくてく東海道-北斎と旅する五十三次-」を4月18日より開催しています。

「てくてく東海道-北斎と旅する五十三次-」
http://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/exhibitions/view/301
【場所】:すみだ北斎美術館 東京都墨田区亀沢2-7-2
【期間】: 2017年4月18日(火) ~ 2017年6月11日(日)

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 江戸時代に東海道を旅するレジャーが広まったのは、享和2年(1802)に出版された『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』の大ヒットがきっかけと言われています。
 この旅ブームを背景に、北斎は7種類もの東海道シリーズを描いています。
 今で言えば、ヒットを狙う出版社が売れっ子イラストレーターを使って、話題作のビジュアル化に挑戦するようなもの。それに乗っかる北斎先生も「機を見るに敏」だったのです。

 しかも作品を出したのは広重より約30年も早かったのです。北斎こそ東海道五十三次シリーズのビジュアルアートのパイオニアであり、広重の先輩と言えるでしょう。

 すみだ北斎美術館では、そんな北斎の作品を今も色鮮やかな状態で鑑賞する事ができます。

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「春興五十三駄之内 日本橋」(前期展示/所蔵:すみだ北斎美術館)

小さいサイズの画集は、持ち主の手で携帯に便利な冊子に仕立て直したものもあります。旅のお供という事でしょうか。いまなら歩きスマホで画像を見るようなもの。
 「飛脚や馬に注意」と書き込みがあるかも。

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「東海道 彩色摺 五拾三次」(前期展示/所蔵:すみだ北斎美術館)

 東海道の地名表示は江戸時代当時のもの。今となっては現在地が分かりにくい地名もあります。そのため解説プレートにはどの辺りなのかを示すマップが付け加えられています。(赤枠内)
 このあたりにも注目すると、いっそう楽しみが広がるでしょう。

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 圧巻は東海道を一枚にまとめた「東海道名所一覧」でしょう。いまでこそ正確な日本地図があるから、それらしい鳥瞰図は描けます。しかしこの絵が描かれたのは江戸時代です。

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「東海道名所一覧」(前期展示/所蔵:すみだ北斎美術館)

 想像力ひとつでこれだけの構成力を示すところに、北斎のただならぬこだわりと才能を感じます。

 このほか、展示期間中はトークフリーデー(お喋りしながら鑑賞)、紙芝居、巨大双六イベントなど、楽しい催しがいっぱい。

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巨大な双六(所蔵:すみだ北斎美術館)

 ぜひ足をお運びください。(水)

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■関連リンク
すみだ北斎美術館 公式サイト

※1=歌川広重:安藤広重と覚えた方も多いでしょうが、安藤は本姓。号(ペンネーム)で書き表すなら、安藤ではなく歌川が正しいそうです。

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