バナナは朝食からおやつ、スポーツ時のエネルギー補給、時にはダイエット食にとあらゆる方面で活躍する万能食となっています。 しかも求めやすい値段で一年中店頭に並んでいるという、近年まれに見る優等生です。 ところがこのたび、たった一本で千円という超高価格のバナナがお目見えしました。 岡山産"1本千円"の高級バナナが本格デビュー 高い糖度と濃厚な味 純日本産として注目を集めている岡山県育ちのバナナ=写真=が地元デパートの店頭に相次いで並び始めた。1本約650円~千円という「たたき売り」のイメージからはかけ離れた高級品で、いずれは台湾、フィリピンにも売り込みをと期待を集めている。 米穀卸大手の神明(神戸市)の関連会社・神明ファーム(同)が岡山の温暖な気候に着目。稲作地帯である岡山市南区の藤田、灘崎地区の計3カ所で昨年2月以降、ビニールハウス計11棟で約1350株を順次栽培してきた。 (産経WEST 2017年3月18日) 温暖な岡山県のビニールハウスで育てるとはいえ寒さに弱いバナナのこと、冬の間は暖房費もばかにならないはず。また、バナナの木はそれなりの高さに育つため、ビニールハウスも大型となっています(高さ6m)。バナナにそれだけの投資をして果たして採算が取れるのでしょうか。 そもそもお米を扱う企業がなぜ、このようなチャレンジを思いついたのか。岡山が地元の地方紙などにその答えがありました。 岡山にバナナの大規模農園が開園 日照多く適地「日本一の産地に」 岡山市南区藤田に建つ高さ6メートルのビニールハウス。中に入ると室温は30度。数百株のバナナが生い茂り、南国の風景が広がっていた。 コメ卸大手の関連会社が、国内では珍しいバナナの大規模栽培を始め、3日、開園式を行った。今年2月に植え付けた株は3メートルほどに成長し、年内にも初出荷する。(中略) 本業のコメの価格が低迷する中、1年を通じて安定した需要がある一方、ほぼ年中収穫でき、栽培にあまり手間がかからないバナナに着目したという。岡山で作る理由について、神明ファームの浅越芳明取締役は「気候が温暖で、ハウスの室温を保つための燃料コストが抑えられる。台風が少ないのでハウスが損壊するリスクも小さい」と説明する。 収量や採算性を検証しながら、岡山県を中心に兵庫県の一部でも農地を広げていく方針。5年後には年産300トン、12億円の売り上げを目指す。実現すれば、鹿児島県(72・4トン、13年)、沖縄県(58・5トン、同)を抜き、国内最大のバナナ産地となる。 (山陽新聞 2016年12月04日掲出) 岡山にバナナハウス開園、1ha・5,000万円の売上目指す=神明 (12/6) ㈱神明(藤尾益雄社長、写真)は3日、岡山県で「バナナハウス開園式」を開いた。グループ会社の㈱神明アグリ(吉川和男社長)の子会社・㈱神明ファーム(吉川和男社長)が展開するバナナハウスのお披露目会。生産したバナナの試食も実施した。吉川社長は、「米を生産しても1ha当たりの収入は120~130万円。バナナ園1haで5,000万円の収入を作っていきたい」と意気込みを語った。 (食品産業新聞 2016年12月6日掲出) 岡山産のバナナが5年後には、南国の沖縄や鹿児島を抜くとは壮大な話です。しかもお米の30~40倍もの収益力があると見込まれています。 そういえば岡山県と言えば白桃やマスカットなどの名産地で、山形県と並ぶフルーツ王国でした。 農地と言えばまずはお米という発想からはとうてい出てこないアイデアですね。 また近年、バナナ生産国に広がるバナナの病気「新パナマ病」や害虫にも日本の農地は無縁のため、日本国内であればバナナの無農薬栽培が可能である事も着目された理由のようです。 [241]やっぱり深刻だったバナナの「新パナマ病」問題 (当コラム 2016年05月20日掲出) 「無農薬の安全な岡山産まれのバナナ」が一本千円。 この値段は高いのか、それとも適切なのか。 価格に見合ったバナナと認められるかどうかは、消費者の舌とフトコロにゆだねられています。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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