「できる!」ビジネスマンの雑学
2017年01月31日
[349]SNSが大量のキャベツを救ったちょっといい話
フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)に代表されるSNS(ソーシャルネットワークサービス)というと、依存症や虚偽のニュースなどが問題視され、決していい話ばかりではありませんが、今回は文句なしにいい話です。 廃棄を余儀なくされたキャベツ1万3千個の大逆転 見た目の規格外や価格調整という理由から、食べるにはまったく問題のない農作物が大量に廃棄されることがある。昨年10月、僕が住む広島県北広島町芸北地区でそんな体験を目の当たりにした。 「せっかく苦労して作ったんだけどね。たくさんあるから好きなだけ持ってっていいよ」 農事組合法人芸北おおさの加計さんが寂しそうにキャベツを指さしてつぶやいた。 (これ以降はリンク先でご確認ください) (オルタナ・植田 紘栄志 2017年1月25日掲出) ※写真は資料 1万3千個の未収穫のキャベツ。色が悪いとか少しキズがあるとか、それは見た目だけの話で、おいしいことはわかっていました。キャベツ農家が手塩にかけて育て上げた自慢の農産物ですから。 ただ仕入れてもらえなければ、その商品価値はゼロです。農家としてはもうこれ以上、収穫の手間も梱包や運送のコストも一切かけられません。知り合いに持ち帰ってもらうにも到底さばききれない数です。 そこでどうしたか。 相談を受けた植田氏は 「参加費1000円でキャベツ収穫体験、クルマに詰め放題」 というイベントを企画して、Facebookで告知しました。 トラクターで押しつぶされる運命だったキャベツは、たったの2週間で完売したそうです。現場となった広島県の山間の町には、岡山や奈良からも駆けつけた人もいます。ひとりで300個も持ち帰り、周りの人にキャベツを配って歩いた人もいます。 なぜ、みなこのようなイベントに参加したのでしょうか。 誰ひとりとしてキャベツで得しようと思った人はいなかったでしょう。それどころか、持ち出しの方が多かったはず。というのも、泊まりがけで来た方もおり、地元のホテルも潤ったとのことですから。 みんな、キャベツをムダにしたくないという思いでつながり、キャベツの「クルマに詰め放題」という意表を突いた面白さに賛同したのではないでしょうか。 過去にも大学生協やコンビニでドリンクやパンを一桁多く仕入れてしまい、大量在庫の悲鳴をつぶやく事がありました。あっという間にSNSで拡散されて、見事にさばけていく過程すらもイベント的にSNSで中継されます。 いち個人やいちショップの仕入れの失敗など、これまではテレビに取り上げられないと誰にも知られることはなく、そしてマスコミは見向きもしなかった小事件でした。 ところが今の時代は違います。ひとりから不特定多数へ、リツィートやシェアなどの方法で、情報を早く広く伝えるSNSがあります。SNSを使う事で、テレビの電波よりも迅速に、より多くの人へ、そして広範囲の人へ、ひとりの「困った」や「助けて」のメッセージが届くのです。 ※写真は資料 マスメディアの持つ力は情報の伝播力でした。ひとたび新聞やテレビ番組に出れば、大衆はもれなくそのことを知る伝達手段は革命的でした。しかし、その本質は情報が一方通行でしかないことに、誰もが気がつき始めました。 また、トランプ大統領の誕生のように、マスコミが常に正しい予想や意見を言っているわけではない事も白日の下にさらされました。 マスコミの言う一般大衆が、自らの意志で行動を起こすニュースソースが、マスメディアからSNSへと移動している事が、こうした出来事で知らされる事となりました。 そしてこんないい話も、マスメディアではなく、SNSやネットニュースから知る時代になったのです。ましてや、超大国の指導者がSNSで国の基本方針をつぶやき、マスコミがそれを追う時代です。 わたしたちはいま、メディアの端境期か交代期を目の当たりにしているのかもしれませんね。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |