みなさんは日本にいる猫に、生まれつきシッポが折れ曲がったり小さく丸まった「尾曲がり猫」がいることをご存じでしょうか。
九州・佐賀の筆者の実家で飼っていた三毛猫も、お尻にかわいく丸まったしっぽの持ち主でした。名前を呼ぶとその団子状のしっぽをカサカサと小さく振って応えてくれたのを覚えています。
東京に住むようになって、近所の飼い猫がよく遊びに来るようになりました。その猫はシマシマ模様のついた長くて立派なしっぽの持ち主の猫でした。
■立派なしっぽと緑目の「ほこり」ちゃん
適当に名前を付けて呼んでいたせいか、しっぽで返事はしてくれません。そのかわり、長いしっぽをつかんで持ち上げると、とても喜ぶかわった猫でした。
いつの間にか実家の猫のしっぽが短かったことも忘れていました。
京都大学などの調査で、このしっぽの曲がりは病気やけがなどではなく、日本の歴史と深くかかわる出来事の結果とわかってきたのです。
この調査によると、尾曲がり猫は主に九州に分布していることが判明。ではなぜ、九州に多いのか。それを調べ進むと、江戸時代の交易にまでさかのぼることに・・・。
■実家にいたしっぽ曲がり猫の「べし」ちゃん
長崎の猫なぜ尾曲がり? 鎖国に関連・ネズミ退治に鍵
先っぽが曲がっていたり、団子のように丸まっていたり...。長崎にはしっぽの形がユニークな猫が多い。長崎県の猫の「尾曲がり率」は全国トップの79・0%という調査もあるが、なぜ曲がっているのかは謎だ。調べてみると、鎖国していた江戸時代、長崎が西洋に開かれた唯一の窓口として貿易の窓口を担った歴史と関係しているらしい。個性的な猫たちのルーツを探ってみた。
(中略)
当時、木造のオランダ船には積み荷を食べたり、船体をかじったりするネズミを駆除するため、猫を一緒に乗せる習慣があったという。学会メンバーの高島茂夫さん(64)は「尾曲がり猫たちは貿易の中継地だったインドネシアを出航した船に乗って長崎に上陸し、定着したのだろう」とみている。
(西日本新聞 2016年4月7日掲出)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/236560
インドネシアからオランダ船に乗って、はるばる長崎にやってきた尾曲がり猫たち。そのDNAが九州の地で、脈々と受け継がれてきたとは驚きです。
江戸時代の日本は鎖国していましたが、オランダ、中国とは貿易でつながっていたと義務教育で学びました。まさにその証拠がペットの猫という意外なところに残っていたのですね。
ところで、筆者の今の住まいでは、リアルツィッター仲間(野鳥)の猛烈な反対のおかげで、猫だけは飼えません。(水)
■「ほこり」ちゃん。なぜか満足げに笑う
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【お知らせ】
当コラム連載中の水田が本を書きました。
「会社勤めで迷ったりむなしくなったときに読む本」
(明日香出版社 著者:水田享介 2016年4月14日発売)
明日香出版社サイト・「今月の新刊」
【本の内容】
希望を抱いて入社したはずが、短くて数日、長くても数年で会社を辞めてしまう若者たち。彼らに何かアドバイスできないか、と筆を執りました。私の仕事の流儀、経験談がたっぷりつまっています。書き下ろしです。
「読んだ後に誰かに話しかけたくなる本」です。
書店で見かけられましたら、ぜひ手にとってごらんください。(水)