日本でも音楽を聴くときはストリーミング配信が主流となりましたが、意外なことにアナログレコードが復活しているそうです。
【レコード】デジタルにはない存在感で音楽を実感する
CDでさえ販売不振が続く中、ここ数年でアナログディスク、いわゆるレコードの人気が再燃しているという。一般社団法人 日本レコード協会の調査によると、レコードの総生産数(邦楽・洋楽の合計)は、2013年度は26万8千枚だったのに対し、2014年度は40万千枚まで増加した。
(日経トレンディネット 2015年11月30日掲出)
パナソニックではターンテーブル(レコードプレーヤー)の再発売を決定しています。ソニーもハイレゾ対応のモデルを、今年発売予定です。
アナログレコード人気復活を受けて、パナソニックからTechnics SL-1200ターンテーブルが完全復活
(BLOGOS 2016年1月6日掲出)
CDの登場で一度は廃れたアナログレコードですが、なぜ今になってと不思議に思う人も多いことでしょう。
と言うのもアナログレコードは音楽の曲数でいえば、ストリーミング配信とは比べることもできないほど不利だからです。毎月数百円で聴き放題の配信サービスに比べ、アナログレコードは表裏の十数曲でそれ以上の値段か、新盤なら数千円はします。
しかもレコードプレーヤーやスピーカーを揃えるなど機材費もかかります。盤にほこりやカビが付かないよう注意も必要です。聞き続けていくうちに溝は摩耗して音質は劣化します。
手間や音が劣化する点を嫌われて、あっという間にCDに取って代わられました。音質が良く劣化もしないといいとこづくめのCDでしたが、同じデジタル音源という土俵ではストリーミング配信に敗れ去っています。音楽に便利さを求めた結論がストリーミング配信だったというわけですね。
便利さから一番遠い存在だったアナログレコードは、なぜ今になって支持を集めることができたのでしょうか。
アナログレコードはデジタルとは違う音質であったことに復活の可能性が残されていたのかもしれませんね。カセットテープもその独特のアナログ音質と相まって、同じように再生のきざしを見せています。
ところで、この降ってわいたようなアナログ人気ですが、本当に喜んでもいいのでしょうか。
この現象の正体は人と違うものを所有したい、聴いてみたいという、興味本位の一時的な流行ではないか、と疑いたくなりました。
アナログオーディオこそ、ピンキリ。いい音を出すには苦労と手間とお金がかかるからです。
レコード盤「Penguin Cafe Orchestra」に針を落とし、中古真空管アンプの柔らかな音を聴きながら、筆者はひとり考え込んでいます。(水)