これからロボットの進出によって、2020年までに500万人の労働者が仕事を失うだろうと、世界経済フォーラム(WEF)の調査で予測されています。
ロボットの台頭で消える職、20年までに500万人分余りも-WEF調査
(ブルームバーグ):遺伝学や人工知能(AI)、ロボット工学などの研究と技術革新によって、人類は2020年までに差し引き500万人分以上の職を失う可能性がある。世界経済フォーラム(WEF)の調査が示した。
WEFの創設者であるクラウス・シュワブ会長と役員のリチャード・サマンズ氏は「ザ・フューチャー・オブ・ジョブズ(職の未来)」というリポートで、技術変革によって先進・新興合わせて15の主要国・地域で20年までに約700万人の職が失われる一方、200万人分が創出されると試算した。
(中略)
WEFのリポートは「技術変革が人材不足と大量失業、格差拡大をもたらすという最悪のシナリオを避けるためには、今日の労働者たちの再訓練と技能向上が必須だ」としている。
管理などホワイトカラーの仕事が失われる職の3分の2を占め、コンピューターと数学、建築、工学関連の仕事は増えると予想されている。
原題:Rise of the Robots Will Eliminate More Than 5 Million Jobs(抜粋)
(ブルームバーグ 2016年1月19日掲出)
2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックまであと5年足らずですが、実は日本でもそれまでにさまざまな労働がロボットに肩代わりされるようです。政府はオリンピック開催に合わせた「ロボットオリンピック」の開催を提唱。経産省とNEDOでは実行委員会ならび諮問会議を発足させ、今年1月に第1回の会合を開催しました。
2020年に「ロボットオリンピック」開催、「ロボット革命実現会議」議論まとめる
経産省は開催していた有識者会議「ロボット革命実現会議」の議論結果を公開した。戦略実行の組織設立やロボット開発拠点の設置、ロボットオリンピックの開催など、意欲的な提言内容となっている。
(MONOist 2016年1月23日掲出)
実用化が近いものとしてあげられるのが、交通機関の自動運転。自動運転そのものはすでに「ゆりかもめ」で始まっていますが、一般道を走る定期運行バスとして「ART」の研究が進んでおり、その実用化は目前のようです。
また、この技術が大都市間を結ぶ輸送トラックやロボットタクシーなどに応用されると、自動運転は一気に普及が進むでしょう。倉庫入出荷作業の自動化と併せて、通販などで利用される運輸業のロボット化はもっとも実現の可能性が高そうです。
■そういえばトーマスも自動運転でした
スマートフォンが進化した自動通訳も活躍しそうです。無人化が進んだ交番に、道案内役として多言語を話せるロボットが設置されるかもしれません。このほかにも介護医療への導入も急がれています。
日本のロボット技術はいままでものづくりなど工業用に偏っていましたが、サービスや生活支援などのソフト面への転換を目指しています。
ロボットと言うと、鉄腕アトムのような人型ロボットを思い浮かべますが、現在ではスマホなどのアプリから発展したものを具現化したものと考えたほうが、わかりやすいかもしれません。
筆者の考えにすぎませんが、教育分野の教師や講師もロボットの導入がなされやすいと見ています。
コールセンターなどで始まっている顧客への回答最適化プログラムは、そのやり取りの内容を学習に置き換えるだけで、教育支援システムに転用できるでしょう。教育スキルをあまり必要としないQ&A形式の学習システムに導入すれば、いつでも遠慮なく質問できる勉強法となり、生徒一人ひとりの学習レベルにきめ細かく対応できます。もう教材を読み上げるだけの講師は必要ありません。
現在の若者は当然のこと、十年後二十年後に大人になる子供たちも、今のうちからロボットと競合しない職業は何なのか、よく吟味しておいたほうがよさそうです。
これまで従事していた仕事が、前触れもなくロボットに置き換えられる。そんな時代はもう目の前です。ロボットに職を追われた人がハローワークに行くと、ロボットが職探しを手伝ってくれるという、笑うに笑えない事態になりそうです。
そうなったときに一番やり玉となりそうなのが、ジョークのひとつも飛ばせないこうした職業紹介ロボットでしょう。
求職者(人):「ハロー、ロボット。仕事を紹介してくれ」
ロボット(ロ):「ハロー。で、どんなスキルをお持ちで?」
人:「パソコン講師だけど」
ロ:「あいにくさま。いまはAIでまかなえてます」
人:「クルマの免許ならあるけど」
ロ:「あなたの技術はね、もうロボットで間に合ってますからー」
人間なら誰しも、ロボットにこうは言われたくないですね。(水)
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