「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年11月24日
[181]ワインが兵器になった歴史、ワイン展(国立科学博物館)

 11月19日(木)はボージョレ・ヌーボーの解禁日でした。「今年は50年に一度のすばらしいできばえ」とのこと。この日を祝った人たちは、おいしい新酒を堪能できたようです。

 東京・上野にある国立科学博物館では、現在「ワイン展」を開催しています。来年2月21日までの息の長い展示です。
 今月27日までになりますが、会場内のショップでは試飲もできるそうです。博物館といえばお堅いイメージでしたが、ずいぶんとさばけたサービスですね。

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ボージョレ、知識深め味わう...東京・上野でワイン展
 フランス・ボージョレで今年収穫されたブドウから造られた新酒「ボージョレ・ヌーボー」が19日、解禁となった。
 東京・上野の国立科学博物館で開催中の「ワイン展」(読売新聞社など主催)のショップでも販売を始め、ワインの知識を深めながら味わえる機会を提供する。
 ボージョレ・ヌーボーの原料ブドウは、ガメイという品種。今年は収量が少ないものの成熟はよく、バランスのよい味わいに仕上がっているという。ショップの担当者は「他品種との違いを意識しながら、味わっていただければ」と話す。27日までの平日の夕方には1日100人限定で試飲も行っている。
ヨミウリオンライン・大手小町・ニュース 2015年11月19日掲出)

 ところで皆さんは、先の大戦中、日本海軍がワインから兵器を作っていたことはご存じでしょうか。その証拠となるものが、この「ワイン展」に展示してあります。やはり博物館が実施する「ワイン展」だけのことはありますね。

 「敵にワインを飲ませて酔いつぶすのか」と、筆者は短絡的に考えてしまいましたが、どうやら違うようです。

【戦跡を行く】 ロッシェル塩、ワイナリー「サドヤ」(甲府市)
 ■兵器造るための醸造

 「この透明の結晶が戦時中、海軍の兵器に使われていたロッシェル塩です」

 JR甲府駅近くにある大正6年創業の老舗ワイナリー「サドヤ」(甲府市北口)を訪ねると、同社の3代目で顧問の今井裕久さん(67)が、プラスチックケースに入った6センチ大の結晶2個と桐箱入りの10センチ大の結晶1個を大切そうに持ってきてくれた。結晶は大きな氷砂糖のように見えた。

ソナー部品に
 ワインの澱(おり)は、ブドウからワインを醸造する際にできる酒石酸が、カリウムなどのミネラル分と結合してできる。ロッシェル塩は、ワインの副産物である、この酒石酸を原料とした化合物だ。
 ロッシェル塩には、圧力を加えると電圧を発生させる性質がある。音響振動を電気信号に変換する特性を生かし、マイクロホンやイヤホンなどに用いられ、戦時中は潜水艦や魚雷の音波を探知するソナー(水中聴音機)の部品となった。
 旧日本海軍は昭和17年6月のミッドウェー海戦に敗れて劣勢に立たされると、ドイツに将校を派遣。ロッシェル塩の応用技術を日本に持ち帰らせ、酒石酸を多量に採取するため、ワインの増産を推し進めた。
産経ニュース 2015年8月12日掲出)

 この「ロッシェル塩」が、今回の「ワイン展」に初出展され、史上初めて一般公開されているそうです。

 戦いの歴史と科学の粋を結晶させた歴史的遺物に思いを馳せながら、一杯、また一杯とワイングラスを傾けるのも、またおもしろいかもしれませんね。
 なお、小中高生の飲酒は禁止ですが、「ワイン展」への入場は可能です(入場料 小中高生:500円、一般・大学生1500円)。(水)

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■関連リンク
国立科学博物館 公式サイト
http://www.kahaku.go.jp/

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