ビール類に対する税率を一本化して課税しやすくしようという動きがありましたが、最近になってようやく見送りとなりました。
ビール類の税一本化とチューハイ増税、見送りへ
2016年度の税制改正で、政府・与党がビールや発泡酒などビール系飲料の税額一本化を見送る見通しになった。
あわせて検討していたチューハイの増税も先送りする。近く本格化する軽減税率の制度設計に注力するためだ。
ビール系飲料の「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の税額は原材料や製法の違いなどから大きく異なり、1缶(350ミリ・リットル)あたりの酒税額はビールが77円、発泡酒が46・98円、第3のビールが28円となっている。
似たような飲料なのに税額が異なることは、消費者やメーカーにとって理解しにくい上、政府にとっては税額の低い第3のビールに人気が集中し、税収が落ち込みやすい問題がある。
(ヨミウリオンライン・経済 2015年10月18日掲出)
今回検討されていた「ビール類酒税一本化」の動きですが、全体で見ると増税ではないかという批判もありました。
とはいえ、今の制度ではどの税率を適用するかの基準にあいまいさがあり、国税当局が税の返還を求められるケースも出ています。このような事態を招くようでは、酒税の見直しは必要なようです。
国税がサッポロの酒税115億円返還請求を棄却 「極ゼロ」問題
第三のビールとして一時販売した「サッポロ 極ZERO(ゴクゼロ)」をめぐり、サッポロビールが自主納付した酒税115億円の返還を求めている問題で、返還を拒否した国税当局の判断を不服とする同社の異議申し立てが棄却されたことが24日、分かった。
サッポロは国税不服審判所に審査請求でき、その裁決に不服があれば提訴することも可能だが、両者の争いはさらに長期化しそうだ。
(産経ニュース 2015年9月24日)
このコラムでも以前、酒税の問題点を取り上げています。
[049]戦費調達だったビール税。のん兵衛の戦時体制は今も続く
アルコール度数が5%程度のビールは、現在は46%もの税率が課せられています。消費税が10%になると48%になる予定です。
私たちは明治時代にできた戦費調達を名目としたビール税の名残りで、酒税に加え消費税まで飲まされるという、おそらく世界一税率の高いビールを飲んでいます。
日本の飲んべえたちは、アルコール度数を税率にするのが、世界の潮流であることをそろそろ学習した方がいいでしょう。一本化というなら、この方向で検討するのが常識的な判断というものです。
日本国が平和国家を名乗るなら、まずは火薬の匂いの残るビール税から見直すべきではないでしょうか。(水)