岡山県のとある小学校で、大学の協力のもと、漢字を効率よく習得するために「ビッグデータ」が活用されているそうです。
「ビッグデータ」といえば、コンビニなどの売れ筋商品が即座にわかると、流通業界では評価され始めています。
教育現場で「ビッグデータ」がどのような働きをしているのでしょうか。そして、その効用とは。
子どもの勉強方法が変わる
「教育ビッグデータ」を取材しました。
岡山・赤磐市にある小学校では、6年生のクラスが、一風変わった漢字ドリルに取り組んでいた。
その答案用紙には、なぜかQRコードがついていた。
そして、テストが終わると、答案用紙をスキャナーに通し始めた。
このスキャンされたデータが届けられるのが、岡山大学・寺澤孝文教授の研究室。
テストの答案用紙の中には、正解したかどうかをチェックする欄、さらに、その漢字がどのくらい身についたのかチェックする欄もあり、生徒が自己評価する。
生徒がチェックした情報は、数字の羅列に変換される。
これが、ビッグデータ。
岡山大学大学院の寺澤教授は「1枚1枚のページごとに、全部、データとして数字に全部変換されている」と話した。
(FNNニュース 2015年10月13日掲出)
ビッグデータがもたらしたのは、生徒ひとりひとりに自分の勉強の成果を、グラフにして見せてくれたこと。子供たちに、次もがんばろうと思わせる効果があるそうです。
それだけではありません。漢字を一夜漬けで覚えたのか、本当に身についたのかをあぶり出す仕掛けも。一夜漬けで試験をくぐり抜けてきた人には、耳に痛い話のようです。
この岡山の実例は、答案用紙とQRコードという組み合わせですが、教育界ではスマホやタブレットを使った試みも始まっています。
教育ビッグデータとは
スマートフォンやタブレット経由で収集した生徒の学習履歴データ。学校や通信教育会社、学習塾は学習履歴データを分析し、教材開発や生徒1人ひとりに合った指導に生かそうとしている。
製品にセンサーを埋め込み、ネット経由で稼働データを収集し、運用・保守に生かす「IoT(モノのインターネット)」が製造業で関心を集めるなど、ビッグデータの利活用に取り組む業界が広がっています。
こうした波が教育業界にも及んでいます。スマートフォンやタブレット経由で収集した生徒の学習頻度や成績、課題の進捗度合いといったデータを分析し、生徒1人ひとりに対して最適な指導をしたり、教材を開発したりします。科学的なアプローチで教育サービスの質を高める手法として、注目を集めています。
(ITPro・山端 宏実 2015年3月13日 )
タブレットをいち早く県立高校に導入した佐賀県では、現場での運用に苦労が絶えないとも聞きます。
佐賀県におけるWindowsタブレットの活用は失敗か? 成功か?
(週刊アスキー 文・山口健太 2014年6月25日)
タブレットそのものが教育機器としての基本性能が足りないのか、それとも教育用アプリケーションの完成度の問題なのか。いまはまだ、検証と実験が必要でしょう。
そういう意味では、岡山大学の寺澤教授が始めたQRコードを使った答案用紙は、勉強の成果に重点を置いたことで、一定の評価を得ています。ITツールにこだわらず、教える技術をアプリケーション化することも、ひとつの解決方法なのかもしれません。
一方で、いまの子供達がスマホやタブレットを使わずに生きていくことはあり得ません。これらのIT機器が教育ツールとして完成することも必要とされているようです。(水)