「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年10月06日
[149]「スマホでメモ」がダメな本当の理由

 このコラムでは、スマホのビジネスマナーをテーマにしたことが何度かあります。
 「スマホでメモ」はなぜ悪い、というニュースをいまだに見かけることがありますので、再び検証したいと思います。

「スマホでメモ」はダメ、が理解できない
納得いく理由を示してください
 最近の若手社員の特徴として、「スマートフォン(スマホ)でメモを取ろうとする」という行動が指摘され、その是非は度々議論される。J-CAST会社ウォッチでも以前、スマホでメモを取る人の言い分を紹介する記事を配信した(2013年4月4日)。

 今回は、「やっぱりスマホでメモなんてダメでしょ!」派の言い分を紹介する。

「手書きより早いし、効率的」
 Q&Aサイト「Yahoo!知恵袋」に、「僕はゆとり世代で育った人間です」というユーザーが、「ゆとり世代の正社員の行動について」問うトピックを立てた(15年9月8日)。

 ユーザーは、ネットで紹介されていた「ゆとり世代の正社員の考えられない行動」で、「休みの連絡をメールでする」「メモはスマホ」が挙げられていたのを見たそう。前者は「普通電話だろう」と理解する一方、「メモをスマホでするのは別にいいのでは?と思うのですがダメなんでしょうか」と疑問を呈している。
JCASTニュース(MM) 2015年9月26日掲出)
http://www.j-cast.com/kaisha/2015/09/26245825.html?p=all

 筆者の取材経験から言うと、インタビューにしても会議にしても、一番効率がいい記録方法は、自分の手でノートに書き残す方法です。

 その次が効率は悪いですが、音声の録音です。

 音声記録は原稿の裏付け資料に使えますが、文字にしておかなければ価値はありません。録音を文字に書き起こすことを、いまでも「テープ起こし」と呼んでいます。テープ起こしは取材した時間の数倍かかりますから、時間的にはいちばん効率が悪くなります。また、プロでない人にとって「テープ起こし」は苦痛でしかなく、おそらく資料として完成することはないでしょう。

 PCやスマホでメモを取る方式ですが、自分自身が発言メンバーである会議には向きません。記録を取るのが精一杯で、自身が発言することができなくなるからです。
 画面を見ながら入力していては、質問もおろそかになります。また人はお互いに顔が見えないと、話に集中できないという習性があるので、「スマホでメモ」は実用的ではありません。
 たとえスマホにメモが残せたとしても、きっと自分の発言は残っていないはずです。発言のチャンスがある会議に記録者として参加しているようでは、その人の今後の成長すら危ぶまれますね。

 利便性だけでなくセキュリティの観点からも、オフィスという公(おおやけ)の場で、個人のスマホは使うべきではないでしょう。

 なぜなら、スマホは数年前のモデルですら、その機能は危険なほど充実しています。ハイビジョン画質の動画撮影、静止画撮影機能、音声録音機能、数GBから数十GBの記憶容量、4G/Wifi/Bluetoothなどの無線接続、USB接続など、オフィスのデータをいくらでも抜き取れる「スパイ装置」の資格は十分にあります。
 オフィスの扉に鍵をかけるように、人にもセキュリティルールを適用しなければならない時代です。こんな危険な道具でメモを取りますと言われても、誰も許可したくないですよね。

15100601.jpg

 「休みの連絡をスマホからメールする」問題は、そもそもオフィスのメールサーバーがスマホメールを受信することが問題だと思います。こうしたメールはスパムメールやウィルスの類いになりますので、フィルタリングして受信しないよう、企業側が事前に対策を講じておくべきでしょう。

 スマホでメモったり業務連絡する若者もいただけませんが、それを可能にしている企業のセキュリティポリシーも問われているということです。(水)

コメントを書く
お名前
URL
コメント
書籍購入はこちら 語学音声アプリ 公開中 閉じる