高野陽太郎東大教授が、鏡に映る姿が反転して見える謎を解明したそうです。鏡映反転の謎、ついに解明か、と話題になっています。鏡映反転とは、鏡の中は現実世界がすべて反転して見える現象のことです。
なぜ反転して見えるのか、その理由については、プラトンが生きた紀元前から、様々な仮説が立てられてきました。今回の発表では、過去の有名な仮説の誤りをつぎつぎと実証して行き、最終結論に至ったとのこと。
東大、鏡の中で像が反転する現象を解明―3つの異なった現象の集まり
東京大学の高野教授は、「鏡映反転は3つの異なった現象の集まりである」と考える独自の理論にもとづいて、鏡映反転にまつわるさまざまな事実を説明することに成功した。
(財形新聞 2015年7月18日)
http://www.zaikei.co.jp/article/20150718/259764.html
2000年以上前からの難問解く
私たちの盲点はどこにあったのか。結論からいえば、鏡映反転は左右が逆になるという1つの現象ではなく、3つの異なる現象の組み合わせだったということだ。そもそも問いの置き方が間違っていたのである。3つとは、自分が鏡に向き合うときに起こる視点反転、文字が鏡に映った時に起こる表象反転、鏡と垂直な方向が逆になる光学反転である。美容室で鏡の中の時計を見ると文字が反対になっているが、この現象と鏡の中の自分の左右が反転している現象は別ものだったのだ。
(日経新聞朝刊 2015年9月6日版 《評》最相葉月)
鏡映反転を解き明かした高野教授の理論は、下記の書籍もしくは東京大学の資料を参照ください。
筆者にはこの謎を簡潔に説明するだけの、知力も根気もありません。
『鏡映反転――紀元前からの難問を解く』
(著:高野陽太郎 岩波書店)
「鏡の左右逆転 1種類ではなかった」(東京大学)
実は、筆者も日頃から疑問に思う鏡映反転があります。
見通しのきかないT字路などにある丸形のカーブミラーです。ミラーに映る人や自転車が、道路の右側にいるのか左側なのか、いつも混乱しています。
手前に見えるときは道路の左、奥に映るときは右に相手がいることは、経験から理解しています。しかし、とっさのときはやはり逆に感じてしまいます。
おそらくミラーの表面が、中華鍋のように湾曲しているからでしょうか。鏡映反転解決のついでといっては何ですが、高野教授にこの錯覚の謎も解き明かしていただきたいです。(水)
ご要請、拝見しました。カーブミラーについては、手短かにではありますが、拙著『鏡映反転』の174-175頁で認識プロセスを検討しています。ご参考になるかもしれません。
ややっ、高野先生。年末のお忙しい中、ご回答いただきありがとうございます。さっそく、該当のページを熟読いたします。わたくしの長年の疑問を解く手がかりをご教授いただき、本当にありがとうございました。