「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年09月18日
[140]まれにみる優良調味料、「いしる」&「よしる」

 「いしる」、「よしる」と聞いて、何のことだかわかる方は「まれ」でしょう。

 どちらも能登の海でとれた新鮮な魚介類を原料とする、能登半島に古くから受け継がれてきた伝統調味料です。

 御存知のように、日本の調味料と言えば、味噌やしょう油が一般的です。ナンプラー、ニョクマムなど東南アジアで広く普及する、「魚醤(ぎょしょう)」文化は、日本では本格的に根付くことはありませんでした。

 そのため、日本で伝統的に魚醤を作っている地域は、しょっつるの秋田、くさやの伊豆諸島、そしていしるの能登など数えるほどしかありません。

 「いしる」は「いしり」とも呼び、新鮮なイカの内臓を原料に作られる魚醤、「よしる」は能登でとれるいわしを原料につくられる魚醤です。

 「いしる」と「よしる」がしょう油と大きく違う点は、この材料にあります。大豆などの植物から作られるしょう油に対して、「いしる」はイワシを丸ごと、「よしる」はイカの内臓のみを使います。
 塩とともに桶につけ込んで、半年から二年ほど発酵させて完成します。

 発酵が完了した液には、タンパク質が分解されて生まれる香りやうま味成分がたっぷり。また、抗酸化性物質、タウリン、ペプチドが含まれており、血圧の上昇を抑制する物質も見つかるなど、天然の健康食品とも言えます。

2015091801.jpg
■写真はヤマサ商事の「いしる」と「よしる」

【いしる、よしるの使い方】
・しょう油の代わりとして。刺身、煮物の味付け、汁物の香り付け。
・ラーメンスープのこく出しや香り付け。
・いしるを出汁で割ってイカやホタテを冬野菜と煮込む「いしる鍋」は能登の郷土料理
・いしるは材料がイカだけに、イカの刺身との相性が抜群によい。

 最後にトリビアな話題をひとつ。

 日本の三大魚醤は、秋田のしょっつる、能登のいしる、香川のいかなごしょう油、です。(水)

----------------
参考サイト:『能登の醸し』ブランド発信事業推進委員会
『「いしり」を語る~魚醤と、醸しの里のこれから~』
(東京農業大学名誉教授/文筆家・小泉武夫氏)

コメントを書く
お名前
URL
コメント
書籍購入はこちら 語学音声アプリ 公開中 閉じる