最近、久しく明るい話題を聞いていないソニーでしたが、欧米で本業のテレビが復調の兆し、とのレポートを見つけました。本当でしょうか。
意外!ソニーのテレビが欧米で復活していた
どん底から這い上がるために何をしたのか
2014年末ぐらいから北米におけるソニー製テレビの売り上げが急伸しているという情報が入りはじめ、当初は戸惑った記憶がある。大型テレビの4K化という流れの中、ソニーがテレビを売りやすい環境にはなっていたものの、当のソニーは高付加価値モデルにフォーカスし、「数より収益性」という方針を打ち出していた。とてもではないが、売り上げ台数が急伸するとは思えない。
ところが1月に全米をカバーする唯一の家電量販専門店であるベストバイに行ってみると、そこには多数のソニー製品が並んでいた。
(東洋経済ONLINE 2015年9月8日 ITジャーナリスト・本田雅一)
CG映像制作も行う筆者には、かつてソニーの映像機材は持っていて当然、いえ持っていなければ仕事にならない必須アイテムでした。
デジタルCGであっても、テレビ局への納品はアナログのベータカム、しかもメタルのラージテープ限定、という時代があったのです。あっ、前世紀のことですが・・・。
そんなソニーの全盛期も前世紀のこと。2000年代に入ると、格安液晶モニターの追い上げ、地デジ化、円高などの影響でしょうか。お茶の間のTVブランドは、あっという間にソニーから他社へ、他社から他国へと置き替えられました。
さらに、ビデオカメラなどの映像機器さえ、かつての勢いが失われました。スマホという薄っぺらな電話機で、ハイビジョンはもとより4K映像(iPhone 6、iPhone 6 Plusで30フレーム撮影)まで撮れる日が来ようとは、夢想だにしなかったという事情もあるでしょう。
■風景シーンは青空と緑の草原に見えたが、人物はみんな病人のように青ざめた顔で怖かった。
昔話はこの位にして、ではどうやってソニーのテレビが、欧米で売れ出したのでしょう。
レポートではストア・イン・ストアを設けて、ソニー製品の高画質・高品質をていねいな接客で訴えたことにあると分析しています。
ストア・イン・ストアは、すでに15年も前にアップルが始めています。大型家電店の中に、アップル製品だけを扱うコーナーを設けるスタイルですね。アパレル業界で言うと、百貨店内にあるブランド・ショップ展開にもよく見られます。
Apple Store-in-Store についてはこちら
「アップル、全国のパソコンショップで"Apple Store-in-Store"を開設」
(ASCII.jp 1999年11月24日)
かつてはソニーのビジネスモデルを追いかけていたアップル。いまや、ソニーがアップルを見習う時代になりました。
ではなぜ、今まで性能アピールを店頭でやってなかったの、という疑問もあります。しかし、現代の家電は家電芸人というジャンルがあるほど複雑です。3D、立体視、4K、8Kなどの単語ばかりが飛び交うセールストークより、消費者のニーズに寄り添うわかりやすい説明が求められていたのではないでしょうか。
また、ソニーの唐突な浮揚の理由として、読者のコメントには、PS4(プレイステーション4)の貢献をあげている方もいます。意外な分析ですが、欧米の若者にはソニーはゲーム機メーカーとして認知されているのかもしれません。テレビ購入の決定権が若者にあるのなら、あながち的外れでもなさそうです。
いずれにせよ、ソニー自身が自社製品が売れ始めた理由を分析して次に活かすことで、一時的なあだ花と終わらないことを願います。
日本の家電業界の本格的復活を、こころから祈りたいですね。(水)