「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年09月07日
[131]NHKに垣間見える動画配信実験の本音

 NHKではこの秋、同局が放送する番組を、ネットで同時配信するサービスを試験的に行うと発表しました。

総合テレビの番組をネットで同時配信 NHKが10~11月に検証実験
 NHKは3日、総合テレビの番組を放送と同時にインターネット配信する検証実験を10月19日~11月15日に実施すると発表した。受信契約者の中から1万人以内を募集し、スマートフォンやタブレット、パソコンで番組を視聴してもらう。視聴ニーズや技術的課題、権利処理をめぐる手続きなどを検証することが狙い。

 実験では、総合テレビで午前7時~午後11時に放送されている首都圏4都県向けの番組を、ネットを通じてリアルタイムで配信する。ただ、一部の番組は、出演者側などとの契約の都合で提供できない可能性があるという。
(産経ニュース 2015年9月3日掲出)

 最近、動画配信が話題になっていますが、NHKも参入かと思いきや。その思惑は別のところにあるようです。
 というのも・・・、以前にこんなニュースがあったことはご存じでしょうか。

NHK受信料、テレビない世帯も ネット拡大で検討
総務省が見直し着手
 総務省はNHKの受信料制度の見直しに着手する。NHKのインターネットサービスの拡大を踏まえてテレビのない世帯からも料金を徴収する検討を始める。パソコンなどネット端末を持つ世帯に納付義務を課す案のほか、テレビの有無にかかわらず全世帯から取る案も浮上している。負担が増す国民の反発が予想され、NHKのネットサービス拡大が国民の利益につながるのか、慎重な議論が求められる。
(日本経済新聞 電子版 速報 2015年2月21日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF20H1D_Q5A220C1MM8000/

 いままではテレビがあれば受信料契約は必要と唱えていたNHKですが、この方法に限界を感じたのでしょうか。
 ネットを契約したらNHKの受信料支払い義務が生じるとしたら、NHKは労せずして、日本国民のほぼ全員から莫大な視聴料金を自動的に受け取ることになります。しかも、一軒の家庭に一契約ではなく、スマホのようなひとり一契約となると、悪名高い人頭税を思い起こさせます。

 しかしながら、ネット契約は動画を見るためだけのものではありません。メール、データ送受信、ブログ、書籍や雑誌新聞などあらゆるメディアが入り乱れている公道のようなものです。ネット配信に遅れて参入するNHKだけが、ユーザーが視聴しようがしまいが、なぜ無条件に受信料を取れるのでしょう。
 しかも、民間他社の動画配信サービスは、契約者のみが見ることができ、契約者のみが視聴料金を支払う仕組みで運営しているにもかかわらず。
 NHKが計画するインターネット配信の検証実験には、課金方式の研究は含まれているのでしょうか。NHKの報道資料では一切触れていません。

「テレビ放送のインターネット同時配信の県章実験について」(NHK広報局 2015年9月3日)
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/kaichou/2015/09/001.pdf

 本当に「インターネットサービスの改善・向上の検討」だけでしょうか。ネットワークに後から参入して来ながら通行税を取るなんて、まるで江戸時代に勝手に関所を設けた地侍のようですね。

15090701.jpg
■ネット料金を払えない人にできる(かもしれない)街頭ネットテレビ

 筆者の考えは、中立性といいながら偏向報道するような今の放送は止めた方がいいと思います。それよりも、時間をかけて多角的な視点を紹介する報道番組があれば見たいものです。
 NHKもいつまでも「総合テレビジョン」ではなく、報道やドラマ、天気、エンタメなどと専門チャンネル化して、視聴率に応じた報酬をチャンネル契約者から受け取るべきでしょう。ネット配信であれば、視聴率はおおむね正確にはじき出されますから、本当に見た人から受信料を受け取る訳です。これならNHKも視聴者も文句はないでしょう。

 そしてこれこそがネット社会の基本ルールではないでしょうか。(水)

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