コンポートというと、日本では高級なデザートと思われています。しかし、要は果物を砂糖汁で煮込むだけのこと。日本料理風に言い換えるなら、コンポートは果物の煮付け料理に過ぎません。
しかも使う果物はといえば、生食できない熟しすぎや未熟のもの、少し傷んだキズもの。残り物をおいしくいただく生活の知恵であり、材料を無駄にしない節約料理でもあるのです。
そう、コンポートこそ、とても庶民的なカンタン手料理なのです。
【材料】
煮 汁:白ワインと水は、1対1の量
(果物により赤ワイン。水だけでも良い)
砂 糖:煮汁500ccに50~100グラム
レモン:1/2個を絞る
香付け:シナモンスティックをひとかけ、
またはバニラビーンズ、クローブ、など
果 物:甘く冷やすとおいしそうな果物
桃、リンゴ、イチゴ、なし、洋なし、トマト、みかん、マンゴー、いちじくなど、なんでも。
【作り方】
1.鍋にワインと水、砂糖を合わせた煮汁を入れて、沸騰させる。煮汁は果物全体がひたるだけの量が必要
2.そこに皮をむいた果物、レモン汁、香付け用香辛料を入れて10~15分、弱火で煮込む
3.果物が煮えたら、火を止めて、あら熱を取ってから冷蔵庫で冷やす
4.アイスクリームやブルーベリージャム、ミントの葉などを添えていただく
【味のバランス】
煮汁、砂糖、レモンの分量で味の基本が決まります。果物から水分が多く出るようでしたら、砂糖やレモン汁は多め。果物の風味によって香り付けの配分も変わります。いろいろとやってみましょう。
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南仏アビニヨンに滞在中、アフリカ市場がたったので行ってみたら、香辛料専門店を発見。シナモン、クローブ、ナツメグを買い求め、「これでコンポート作ろうかな」と売り子のお姉さんにつぶやいた筆者。
「じゃ、これあげるね」と、見事なバニラビーンズを一本、彼女が付けてくれました。
10個ひと山200円のラ・フランスが、薫り高い高級デザートに化けたのは、フランス人の彼女の心意気によるものでした。(水)