「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年07月13日
[092]黙ってクリック、ピタリと当たる「出身地鑑定!! 方言チャート100」

 大変な労作サイトを発見しました。その名も「出身地鑑定!! 方言チャート100」。質問に答えていくと、その人の出身地をズバリと当てるという、地域ネタサイトです。東京女子大学の篠崎教授とゼミ学生さんたちの手で開発されました。
 こう聞くと、語尾に「~ドス」とつけば京都、「~ッペ」は茨城、「おいどん」は鹿児島でしょ、となりがちですが、今までの言い古された紋切り型とは違います。

出身地鑑定!! 方言チャート100
http://ssl.japanknowledge.jp/hougen/

 このサイトのすごいところは、従来の県単位にとらわれず、言語によるエリア分けを行い、全国を100地域に細分化して正確さをきわめた点です。
 そうなんです。方言は県単位ではなく、江戸時代から引き継いできた地域、というより「藩」単位。これでないと、方言を母語に持つ人のアイデンティティを言い当てることはできないのです。もちろん、藩など明治政府によって150年も前に消滅しました。ところがどっこい、強権などでは方言までは消すことができなかったのです。

15071301.jpg
(徳川家康が築城した出世城「浜松城」)

 たとえば、新潟県や福岡県、静岡県がその代表例でしょう。新潟県は南北に長く、風土も藩も違うため、話し言葉に大きな違いがあります。また、数多くの小藩を寄せ集めて誕生した福岡県では、北九州や久留米の出身者は博多弁にまとめられることに強い抵抗を示します。
 徳川家康を信奉する浜松出身者が静岡弁にくくられるときの苦悩の表情は、一見に値するほどです。おそらく腰に大小があれば、間違いなく斬りかかってくるでしょう。

15071302.jpg
(今も浜松市で利用されている旧東海道と松並木)

 筆者がこの「方言チャート100」をやると、佐賀になったり、筑後地方になったりで、正確な答えはいただけませんでした。出身地が佐賀でも福岡でもない、天領飛び地といわれる小藩でしたので、仕方のないことですが。
 おそらく全国を500ぐらいに細分化していただけると、もっとしっくりくるのかもしれません。

 以前、井上ひさし氏作「父と暮せば」(※1)を観劇した後で、知り合いの女優陣、こまつ座の方々と会食しました。そのとき、原爆が落とされた後、広島市の爆心地周辺は、広島弁が変わってしまったという話が出ました。
 方言までも消し去った原爆のむごさに、筆者は少しもらい泣きしました。(水)

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※1 「父と暮らせば」:2015年7月20日まで紀伊國屋サザンシアターにて公演中。
詳細は「こまつ座」へ:http://www.komatsuza.co.jp/

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