ある企業が始めたユニークなチャレンジ、「子連れ出勤100社プロジェクト」。
子連れ出勤制度を広めるためのプロジェクトスタート
体験カタログやチケットの企画、販売を手がけるソウ・エクスペリエンス株式会社は社内で導入している「子連れ出勤制度」を全国に広げるため、「子連れ出勤100社プロジェクト」をスタートします。
小さなお子さんを連れて出勤。オフィスの一角にお子さんが過ごせるスペースがあって、社員みんなで見守りながら、仕事をする、ということですが、、
(J-WAVE WONDER VISION 2015年5月9日)
http://www.j-wave.co.jp/original/wondervision/sp/egg/749.html
筆者が思うに、「職場に子供なんてふさわしくない」と眉をひそめず、いろんな企業で一度やってみたらいかがでしょうか。
なぜなら周囲の理解がないばかりに、過去につらい思いをした先人たちがたくさんいるからです。
チャイルド・ウォーズ エピソード1
ふたりの幼い子供を抱えてお弁当屋さんを起業したとある女性。会社のお弁当を受注したいと、せっせと営業に回るのですが、門前払いが多かったそうです。なぜか。子供を連れて営業にでるしか方法がなかったから。
時には企業の担当者とコンタクトがとれても、守衛室からウチは子連れでくるところじゃないと追い返された経験もあったそうです。日本を代表する家電メーカーですら、こんな対応でした。
何度悔しい思いをしたことか。唇をかむ日々が続きました。
その後、お弁当屋さんは従業員200人を擁するケータリング企業に成長。連れ歩いていた息子は医師になりました。
チャイルド・ウォーズ エピソード2
やはり子供ふたりを抱えて、出版社を起業したある男性。オフィスを構えるお金もないので、住居兼事務所でがんばっていました。
電話で営業をかけ続けてようやく契約直前までこぎ着けました。ところが、後ろで下の子が泣き始めました。泣き声が電話の向こうにも聞こえたらしく、あっさり破談に。仕事はしたいが子供も大事。ここはこらえどころと歯を食いしばるしかなかったとか。
そして、大きく成長した出版社は、今では息子さんが二代目社長を務めています。
チャイルド・ウォーズ エピソード3
筆者はゲームを作るプロジェクトをやっていたので、都内に制作事務所を構えていました。子持ちのスタッフもいたので、子連れ出勤はありました。ただ、子供スペースというものがなく、その辺で遊ばせていたら、だんだんとおもちゃが増えていった記憶があります。
いま振り返ってみると、企画立案や原稿書きなどメンタルな仕事の職場には、子供と一緒は少し大変でした。とはいえ、当時は他に方法がなかったので、みなが受け入れていたようです。ゲーム業界はなんでもあり、外見にこだわらずですから、こうした業界から子連れ出勤を奨励すればいいのではないでしょうか。
どうすれば子育て中の女性や男性が働けるのか。子連れ出勤がうまくいくのかどうか、すべてはやってみないとわかりません。
育休を取った社員がスムーズに職場復帰するステップとして、また職場に確実に戻れる足がかりとしても子連れ出勤は有効な方法です。日本の職場はなにごとにも男性優位ですから、その障壁を下げていくには、こうしたチャレンジから実例を積み重ねていくしかなさそうです。
会社がハッピーなエピソードという実例を増やすことでしか、日本の社会は受け入れる体制にはならないかなと思います。(水)