以前にこのコラムで紹介した「私の履歴書」連載の「ニトリ社長の規格外人生」ですが、その元になる本がありました。
『落ちこぼれでも成功できる-ニトリの経営戦記-』
(著者:大下英治 徳間書店 2013年刊)
「私の履歴書」で話題となった似鳥社長の仰天エピソードはこの本に出てきますが、四百ページ近くもあるので、より詳細に内容を知ることができます。
後半部分では、これからの経営計画が詳細に語られており、2015年の現在、その計画が順調に推移していることに驚かされます。
ニトリが都市部進出を強化 銀座出店に続き大阪・心斎橋にも年内
家具大手のニトリホールディングスは、大都市の中心部への出店を強化する。24日に東京・銀座の百貨店プランタン銀座に新店舗をオープンしたのに続き、年内には、大阪・心斎橋周辺にも出店する計画を明らかにした。このほか、東京・新宿や渋谷への出店も検討する。
(産経ニュース・経済 2015年4月24日)
ニトリでは台湾で苦戦しながらも店舗を16店に増やし、中国本土にも進出、アメリカへの進出も始めていると書いてありましたが、以下の記事を見ると、わずか一年余りで米国で5店舗を展開しています。ヨーロッパ進出がいつになるのか興味は尽きません。
ニトリが中国に4店目を出店
家具販売のニトリホールディングス(HD)は19日、中国で4店目の店舗を江蘇省蘇州市に29日オープンすると発表した。同社は海外では米国に5店舗、台湾で20店舗を展開しており、「中国も含め今後も積極的に海外展開を図る」(広報)としている。
(産経ニュース・経済 2015年5月19日)
この本の中で興味深かったお話をいくつか取り上げます。
●印刷したお札を砂糖引換券として配布。通貨偽造罪に問われた似鳥社長。
●やつれ顔を化粧で隠した似鳥社長は500万円の融資を勝ち取った。
●失敗を恐れるな。うちは見切り発車の会社なんだ、と言い切る似鳥社長。
●東京本部を赤羽に決めたが、そこにはまだ稼働中の他社工場があった。
●「儲けてやる」ではなく「儲かる仕組み」を作れ。
●ニトリの従業員最高齢は81歳(2013年当時)。
面白がっているだけでは、その人の本当の実力は分からないものです。ニトリ躍進の理由は何か。それはニトリに行ったことも買い物したこともない筆者でも、ニトリの5年後、10年後の目標がわかってしまうことです。おそらく従業員の皆さんならもっと知っているはずで、働くモチベーションにも良い影響を与えていると思います。
この本を読んで、どんな業種であれ、やみくもに働いているだけではダメなことに、なるほどと得心が行きました。
似鳥社長はもちろん、ニトリに興味のある方は、ぜひご一読をオススメします。(水)