「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年05月19日
[053]タブレットは教材になるのか、教育界の果敢な挑戦

 わが国の学校教育はいずれ、すべての教科書をタブレットに収めることになりそうです。5年後の2020年には、明治以来続いてきた紙の教科書が姿を消すかもしれません。

全教科をタブレット1台に...デジタル教科書検討
 文部科学省は、タブレット式の情報端末を使った「デジタル教科書」の導入に向け、有識者会議を設置して検討を始める。
 英語や音楽で音声を使った体験学習をしやすくなるほか、算数・数学では、図形を立体的に学ぶことができるといったメリットに着目している。文科省は、2年程度かけて新たな教科書検定の方法などを検討し、早ければ2020年度からの導入を目指す。(中略)
 ただ、教科書は現行法では「紙」であることが定められており、タブレット端末を教科書と認める場合、学校教育法などの法改正が必要となる。
(引用:ヨミウリ・オンライン・IT 2015年5月9日掲出)

 タブレットは誤解されがちですが、パソコンから生まれたツールではありません。iPhoneやAndroidフォンから派生してできたのがiPadなどのタブレットです。
 そのためOS(基本ソフト)の仕様もスマホとほぼ同じ。違うのは電話機能を省いて、スマホより画面サイズを大きくしてデータ閲覧に特化した点です。

 ではパソコンとタブレットの違いはどこにあるでしょうか。OSが違うのは当然ですが、見た目での一番の違いは、パソコンではおなじみのマウスがタブレットにはないことです。タブレットは画面を指でタッチして操作します。また、パソコンでは文書作成や画像処理などのソフトウェアが豊富にありますが、タブレットはデータを作ることより見ることに重点を置いたアプリが中心となります。

 そのため、データの保存や移動を目的としたカードスロットやUSBポートなど、外部記憶との接続機能はタブレットからは省かれています。データはハードディスクではなく内蔵メモリやネット上のサーバーに保存します。AndroidタブレットにはあるメモリーカードスロットもiPadにはありません。
 また、有線LANは装備しておらず、通信機能はWi-Fiといった無線機能のみです。

 すでに県立高校でタブレッ導入に取り組んでいる県もあります。

県立高タブレット導入1年 課題次々、手探り続く
教員、生徒「四苦八苦」
 県教委が昨年4月から県立高校の新入生(約6600人)にタブレット端末を導入し、1年が経過する。5万円負担で生徒が購入する全国初の取り組みだが、年度当初は授業中にうまく教材ソフトをインストールできず、年度末にはその教材を削除するなど、技術、契約上の問題が浮上した。
(引用:佐賀新聞LIVE 2015年4月1日掲出)

 佐賀県では2011年度から準備をしてきたようですが、まだ改善の余地が多そうです。
 タブレットはパソコンよりもデータ漏洩対策やセキュリティ効果が高いので、教育現場には適正がありそうです。また音声や動画、インタラクティブな操作性など多彩なメディアを駆使すれば相乗的な教育効果を得られるでしょう。

20150519.jpg
(明治以来続いてきたパラパラマンガの歴史も風前の灯火)


 ただ、データの取り込みや持ち出しが難しい分だけ、運用にはパソコンとは違った注意が必要です。技術的な問題を挙げると、高速の無線回線をどの程度まで整備するのか、タブレットの特性を活かした副教材を教師が作成できるのか、生徒が作成したデータの保存方法は。それ以外にも以下の問題があげられます。

 ・タブレットの特性を活かした教科書については未知数
 ・見るだけのツールなら、紙の教科書のままがまし
 ・タブレットに変わったことで教師の教育スキルが阻害されないか
 ・タブレット教育が高校・大学受験などで不利にならないか

 批判は多いようですが、いまのこどもたちから情報ツールを取り上げることはできません。効果的な教育利用についてはまだ未知数の部分もありますが、教育の場で試行錯誤した方が良さそうです。(水)

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