最近、テレビは終わったメディアだなとつくづく実感しました。
戦艦武蔵の海底からのナマコ、いやナマ中継「戦艦「武蔵」 フィリピン・シブヤン海の海底から生中継(ニコニコ生放送)」を視聴した時です。
ニコニコは有料会員登録もありますが、この中継は英語から日本語への同時通訳付きで2時間30分にわたり、無料・無登録でした。しかも無料の会員登録でも録画された武蔵の映像を今も楽しむことができます。
「71年ぶりに発見?》戦艦「武蔵」 フィリピン・シブヤン海の海底から生中継」(2015年3月13日(金)09:30開場 10:00開演 )
会員登録して日付で過去の中継をさがせばすぐに見つかります。
この番組が始まることを知ったのは開演数分前のネットニュースでした。テレビの速報は中継後のお昼過ぎにちらりと出たとか。「ニコニコ生放送」では執筆中のいまも生放送は1606~1860番組があります。
先週の3月20日でケーブルテレビのデジアナ変換サービスがおおかた終了しました。このサービスを利用して古いアナログテレビで地デジを見ていた家庭は、新たな対処方法を求められています。
「デジアナ変換サービスとは」
デジアナ変換サービス」は2015年3月までに終了となります。それまでにアナログテレビをデジタル対応する必要があります。もう一度ご確認願います。(4月に終了する地域もあります。ご覧のケーブルテレビ局にご確認ください。)
デジアナ変換は2015年の3月までに終了する期限付きのサービスです。
そのため、デジアナ変換でテレビを見ている方は、サービスが終了するまでにアナログテレビをデジタル対応しないとテレビが見られなくなってしまいます。
(引用:デジタル放送推進協会のサイトより抜粋)
当たり前かもしれませんが、テレビを見ないという選択肢はデジタル放送推進協会にはなさそうです。
地デジが始まった2003年からすると、現状はさらに変化しています。アナログから地デジに変わったメリットはいよいよ薄くなり、番組が増えても喜ぶ人は少ないでしょう。実は、テレビのデジタル対応よりももっと便利で使い勝手のよい方法がいくつもあるんです。終わったテレビにお金を使う必要などありません。
今のデジタルテレビの中身を見てください。見る価値のない映像が高画質になる理不尽。どの番組にも顔を出して同じ話しかできないタレント。昔の昭和の話しかしない人。親会社のロボットなのか偏向報道。遅すぎる速報・・・。
出てくる人間が全員座っていて、終わった人たちが終わった話を永遠に語り合う液晶パネルより薄っぺらな世界。ひな壇番組というらしいが、一年中でずっぱりなのでひな人形よりも始末が悪い。
こう書く筆者ですが、過去にテレビ番組の制作にいくつか参加したことがあります。ジャニーズ系タレントを使った番組でしたが、タレントのスケジュールを押さえることしか頭にない局制作者には困りました。またゲームという売るコンテンツを制作してきた筆者とタダで見せる番組を作る人たちとの意識の違いは大きく、こちらに得られるモノはなくさっさとやめました。
広告業界に入った頃、コピーライターから作家に転じた開高健と親しかったディレクターからこんな話を聞きました。「テレビ局が地方に広まったころのことだけど、広告代理店はスポンサーから地方にもCMを流す発注が来ると、地方局にCMの入ったテープと時間割りを送るんだけとね。地方局はCMを受け過ぎたり管理が悪かったりで流さないことが結構あったんだ。テレビなんて時間が過ぎてシマえば知らん顔できると、油断してたんだね。」「ある代理店の知り合いが発売間もないビデオデッキで、といっても録画機が自動車や家の値段より高かった時代だけどね、CM落ちした番組をかたっぱしから録画して、地方局の人間に見せたらしいんだよ」「その人はそれを職業にしてなぜかすごく儲かったらしいよ、ワルだよねぇ。スポンサーにとってはいい人だったけどね、ハハハ」
広告業界で生きるなら油断するなということか、悪い人でもスポンサーにはよい人なのか、こうやって儲けろの処世訓なのか、何の話かまったくわかりませんね。でも次のブログを読めば少しわかってきます。
「テレビ局の電波利用料負担は、ここにあげなかった局を含めて総計で34億4700万円にしかならない。
一方で営業収益は3兆1150億8200万円。
電波を独占して上げる収益に対して利用料が千分の一。
低すぎませんか。」
(引用:2008年2月24日 河野太郎氏公式ブログより 営業収益は平成18年度)
「テレビ埼玉」に至っては119万円の電波利用料で年間40億円を売り上げていた。(引用:週刊ポスト 2010年11月12日号)
この報道以降、最新の電波利用料が出てこなくなりましたね。電波利用料をオークション制にするだけで数千億円の税収が上がるはず(米国では年間5000億円の税収)なのに、日本では政党も政府もまったく動こうとはしません。一方で国民負担となるケータイ電話の電波使用料はすでに1台当たり200円を徴収していますがさらに新税を設ける動きも。国はケータイ電話から2013年で560億円の電波利用料を手にしているようです。なおテレビ局の電波利用料はいまだに51億円程度(どちらも総務省の推定)。
(引用:総務省「電波法の一部を改正する法律案について」 平成26年2月)
もうね、決まった時間にテレビの前に陣取って視聴するスタイルが家庭で受け入れられていない。認めましょうよ。
そのことにテレビ業界は気がついているのでしょうか。気付いていてもこのスタイルは変えられないから、意地と現状維持でやってるのかな。
わずかな電波利用料で何千億円ものCM放映料を受け取るビジネスモデルはもうすぐ終わることは明らかです。根拠となる視聴率はネット時代の今、もはや誰からも信用されていません。もし視聴率を正しく計測したら、その場でテレビ業界は終わるでしょう。
その一方でニュースキャスターが「今日のニュースをネットアクセスランキング順に見ていきます」などと言ったりします。ニュースの重要度をネットを根拠にすることに自己矛盾はないのか。ネットランキング順ならネットで見たほうが早いよね。しかもニュースをはしょって聞かせたり、アクセス数がいくつだったとネット動画(もう見たよ)を自慢げにテレビで見せるなど番組作りに終末臭が漂っています。
インターネットネットテレビにしたら、ニュースはどうするの。心配ありません、ネットならニュース原稿を正しく詳しく読み上げてくれます。天気予報は。困りません。ネットで場所や時間を指定して、天気予報をピンポイントで見ることができます。地形が複雑な日本では地域ごとの天候が大きく異なるそうですので、ピンポイント予報の需要は高いようです。日本地図を広げたおおざっぱな天気予報は見るだけ時間のムダ。もう見る必要なし。
テレビを止めて、ネットを中心とした情報収集や娯楽を楽しむにはどうすればいいのか。本来は総務省が広報するべきですが、当然やってくれません。デジタルテレビを揃えるより安くて簡単ですので、このコラムで改めてご紹介します。
テレビ局は娯楽の殿堂という看板を捨てて、ネットの補助的な動画サイトとして再スタートをおすすめします。そして消費税アップを批判する前に、売り上げに見合った電波使用料を国家に支払いましょう。
(水)