全国各地になばな(菜の花)を始め、長野の野沢菜、山形の青菜(せいさい)、九州の高菜など名前の通った菜っ葉があるのはご存じのことでしょう。東京都にも江戸時代から作られ続けてきた菜っ葉があるのをご存じでしょうか。
東京都の西部地域にいまも生産されている菜っ葉、のらぼう菜、もしくはノラボーとも野良坊とも呼ばれるちょっと変わった名前です。旬は3月から5月頃までの春物野菜。
くきの部分になんともいえない甘みがあり、さっと湯がいてしょう油と鰹節で和えたり、おひたしにしても最高。油揚げや豚肉と一緒に油で炒めてもいけます。簡単な調理でおいしくいただけるまさにおかず業界の万能選手です。
こののらぼう菜、実は大変由緒ある野菜です。江戸後期の明和4年(1767)、幕府が江戸近郊の主な村に闍婆菜(ジャバ菜)の種として配布した記録があり、現在の埼玉、東京西部地域ではかなり栽培されていたようです。
そのおかげか種を拝領した後、20年と待たずに訪れた天明・天保の大飢饉の際には非常食として大変ありがたがられたとか。飯能や奥多摩の五日市地区では今なおその功績を語り伝えています。
肥料もいらず手間をかけずとも、冬越し後まっさきに生育するのらぼう菜は確かに救済野菜の資格十分ですね。
最近の研究ではセイヨウアブラナに属していることがわかり、闍婆菜(ジャバ菜)の語源はジャワではないかと考察する人も。オランダとの交易でジャバ(今のインドネシア)からはるばるやってきたと想像するだけでもわくわくしますね。
江戸時代のまっただ中にオランダ船に乗ってやってきた西洋野菜。
そして多くの農民を飢餓から救った奇跡のヒーロー、野良坊、ノラボー、NORABOW。
映画には・・・ ならないか。
「のらぼう菜の由来はこちらから引用しました」
「こちらでのらぼう菜の種が買えます」
野口種苗研究所