8月といえば、アバンチュール。皆様すてきななひと時をお過ごしでしょうか?
夏は人の心を開放します。貴方の心のドキドキダイナモは、ぐいぐい回転してますでしょうか。
フランス語で「冒険」を意味するアバンチュール。通例的に恋の冒険という意味で使用されているのがアバンチュールという単語です。ラブアドベンチャーとか言い換えるなら、いきなり安っぽいエロチカC級映画タイトルみたいで
商業的に赤字だなと思うのですが、心底どうでもいいですね。ごきげんよう、安定した愛が欲しい山名弘晃です。もっともアバンチュールの麓にすら立っておりませんが、それもどうでもいいことですね。
さて。女性も男性も恋に恋い焦がれるのは今も昔も同じ事。恋愛小説や恋愛指南書、映画にドラマにTVゲーム、はてまた夜の歓楽街であったりと、様々な場面で恋は語られます。1990年代までは妹萌え~兄萌え~なんて、ある意味閉ざされた世界でのコンテンツでしたが、2000年代には、コミックス『僕は妹に恋をする』が一般映画化までされるほどにメジャーになりました。この2000年代にいわゆる●●萌えというのは出そろった感は否めなく、2010年代での新しい萌えというのはカルト的にマニアックな路線に入ってきております。
前置きが長いのはしょうがないとして、今回ご紹介するコミックは、
『家電の女』。掲載誌は女性向けコミック雑誌『KISS』です。ああ、家電量販店で働く女性を採り上げたのだろうなと思われるかもわかりませんが、違います。
家電萌えです。あまつさえ、擬人化。もう一度書きましょう。家庭用電気製品に萌えすぎて、
家電を男に擬人化させ、アバンチュールを楽しむ主人公のお話です。しかも擬人化商品はすべて実在する商品です。
本書をそのまま書くと対価が寂しくなるので、仮に、炊飯器を例にします。炊飯器はゴハンを炊いてくれまる美男子になります。おいしいご飯を食べたら主人公は幸せな気分に。なんと彼はパンを作って朝食まで!寂しがり屋の彼女にそっと同情したり
応援の言葉をかける炊飯器。包容力のある彼に包まれながら元気になっていく主人公。
そんな彼の名前は商品番号HATSUSHIBA-0056-S-02です。何を言ってるのかわからないと思いますが、書いてる本人もうまく説明しずらく、これでも、どうやったらこのバカバカしい女の悲しみをお伝えできるかと悩んだ上での具体的な説明なのです。とはいえ基本的にはギャグマンガ。笑えるポイントも多く、特にお掃除ロボットの回は衝撃的でした。
また、裏表紙のバカバカしさも
スピニングバードキック。一瞬マーケティングを間違えてないかと不安にさせる妄想注意書きが実に読ませてくれます。ほんと、『KISS』って、「読むと恋をする」なんてフワフワなキャッチコピーの雑誌なのに、なんでこんなに海千山千なんだと思ったけど、考えてみれば『海月姫』も『KISS』連載でしたな。
さあ、「わかる!私も家電好きなの!」という貴女。(ビッ●カメラ的に)
ソリッドなシルエットにぐっと来る貴女。(空気清浄機的に)
優しく大きく包まれたい貴女。(冷蔵庫的に)
ビビッとした衝撃に貫かれたい貴方(電気だけに)
めくるめく恋の香りがしませんか?さあ、書店で手にとってみてください。僕は2巻目が出たら絶対買う予定です。
my Bookshelf Yamana 連島本店
山名弘晃
書名:「家電の女 1」
著者:西山優里子
出版社:講談社
本体価格:562円(税別)
ISBN:978-4-6-376669-1