いつのころから広告コピーに魅了されている。テレビ番組の合間に流れる15秒のスポット広告・毎日通るホームの向こうにあるポスターコピー・通勤途中のつり革広告などな
どおきてから寝るまでの間にほんと、さまざまな広告コピーが溢れかえっている。すごくそれは商業的であり、日常生活の中でのそれらは「意思を惑わす者」もしくは「必要の無い景色」として存在し、録画鑑賞時にスキップされたり、あるいはしゃれた落書きをされたりと、好意的に取られることは少ない。もちろん、好きな女優や俳優、もしくは最近は減ったが珍妙な動物が登場していると、面白がったり好意的に見たりはするが、それは非常にレアケースであり、ほとんどの場合は見流さ、聞き流されてしまうものなのです。
でも、そんな不運の広告コピーですが、よくよく考えてみたら、その一瞬ともいえる存在に対しての作り手の思い入れは非常に高く、それでもって洗練されているのです。糸井重里は「おいしい生活」というキャッチを作り、抜群に知名度が上がり、サントリーウイスキーは広告コピーのおかげで瀕死の状況から持ち上がったので。
さて、本題の本の紹介ですが、ここに書かれている広告コピーのカテゴリーはざっと「女」「男」「愛」「仕事」「人間」「家族」「毎日」「人生」に分けられます。
んで、なんか気がつきませんか?
そうなのです、ここにはほぼすべてが詰まっております。人生の縮図が広告コピーなんです。
たとえば、
「あなたが
いま辞めたい会社は、
あなたが
入りたかった会社です」
というコピーですが、このコピーは真理です。この言葉をうまく消化できた人は、安易に仕事をやめることは無いでしょう。また、コピーにはそれに見合ったデザインや、ライフスタイルも付加されており、それらがそれ以上の効果を示すものがあります。
これについてはいくらでもここで語ってゆきたいのですが、長くなってもいけないので省略させていただきます。
広告は人生であり、人生は広告である。悩んだときは、毎月何十冊も発行される自己啓発本でもいいですが、たまには広告コピーに救われてみませんか?
僕は、トイレの片隅にこの本をいつも置いています。それもまた気の利いたコピーになるのではないでしょうか?
大垣書店 ヨドバシ京都店
伊藤義浩
書名:傑作!広告コピー516
編者:メガミックス
出版社:文藝春秋
ISBN:978-4167801748
本体価格:750円