■チェーン・ポイズン■
まずはこの本を読んだ感想を一言で言うと
「騙された!」である。
それも気持ちのいい騙され方である。
「本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか?」
自殺しようとした三十代のOLに声をかける謎の人物。
自殺しようとした人がそんなことを言われて一年待てるだろうか?
そんな疑問が沸いた。いくら一年後にすごく楽に死ねる方法を提供しますと言われても
死にたいと思った人が一年間生きられるだろうか?
自分なら生きていけるだろうか?
そんな疑問を抱きつつ物語に引き込まれていった。
そしてもう一つ、物語に引き込まれたことがあった。
それは物語を読み進めるうちに抱く妙な違和感だった。
このOLは本当に一年後に死ぬのだろうか?
僕の抱いた疑問と違和感、この二つを最後の最後で見事解決してくれた、
その時に出た感想が冒頭の
「騙された!」 である。
もしこの物語に興味を持っていただけたなら、あなたも僕と同じように
「騙された!」と言ってみませんか?
■プリズン・トリック■
ミステリー好きな僕が最後の最後まで結末が全く予想出来なかった。
こんな難解なミステリーは読んだことがなかった。
物語の冒頭、交通刑務所の日常が結構長く説明される。
いつ事件が起こるのだろうと思っているとある受刑者が殺され、
ある受刑者が逃亡した。
普通のミステリーならこの殺人事件を解決する刑事なり探偵が登場して
事件を解決していく過程で新たな事件が起こり、それも含めて解決していく。
という展開になる。
しかし、このミステリーは一つの謎の答えに近づいたと思ったら
その答えが新たな謎を呼ぶ。
そしてその新たな謎の真相に届いたかと思うとその真相がまた新たな謎を呼ぶ。
そんな展開が、結局読者に最後の最後まで気を抜かせない
極上のミステリーに仕上がっている。
最後に単行本未収録の"ある人物からの手紙"を読んだときに、
最後の謎が解けるのだが、その結末は思わず背筋が凍る気持ちになる。
これがデビュー作とは思えない、読み応えのあるミステリー小説です。
宮脇書店大阪柏原店
主任 荒井俊和
書名:プリズン・トリック
著者:遠藤武文
出版社:講談社文庫
ISBN:978-4-06-277155-9
本体価格:667円
書名:チェーン・ポイズン
著者:本多孝好
出版社:講談社文庫
ISBN:978-4-06-277145-0
本体価格:695円
とぉーしーのっ、はぁーじめーの色恋沙汰と言えばバレンタインですが、皆様ご機嫌いかがですか?
こんにちは、アウェーどころかJFL降格の山名弘晃です。
あれですよ、正月早々、久々にゲームでもやるかとやってたのがマヴラヴですよ。連続してマヴラヴオルタですよ。そんなの知らない?良いんです、知らなくて良いんです。物事なんざ知らない方が人間幸せなんです。物事なんざ片っ端から忘れる方が人間幸せなんです。だから知ってる人は「年の初めからギャルゲーかよ」と卑下するがよい。(でもこれが電子書籍だと思うな、俺は)
さて、なにやら本日は明日香出版社創業記念日とのこと。あぁ...、思い出します、アメリカの大地に輝く好青年。えぇ某ツアーの12回目で、現社長殿とご一緒させて頂いていたのですよ、実は。
当時はまだ明日香出版社創業者が社長だった時代。しかしそのご子息とはいえパワーオーラを出しまくり、バズーカみたいなデジカメを振り回し取材するその姿は、まさに立派な青年実業家。笑うと八重歯がきらりと光るような眩しい記憶が脳裏に浮かびます。山名弘晃と同じ年代とは思えぬサワヤカワカモノでいらっしゃいました。
片や優良中堅出版社経営、片や弱小書店運営。
片やハッピープラス思考派、片やメネメネ暗黒舞踏派。
片や愛妻とおはようのキス、片や深夜のギャルゲー。
...。
......。
ええい、酒だ酒だ!酒をもってこい!
というわけで、「酔って記憶をなくします」でございます。
お酒に酔うことは皆様多少はおありでしょうが、記憶を無くすまでとなるとさすがに経験は少ないはず。酒飲みである山名弘晃は流石に記憶を飛ばしたことはありませんが、酔った勢いで告白して大轟沈した黒歴史を持っております。
こちらの本は、泥酔して失敗してしまった失敗談集。謎のダイイングメッセージを残したり、一目ぼれの男性にイチゴアイスを投げつけたり、裸足で雪山を散歩したりと、なかなかファンキーなドキュメンタリーでございます。笑える失敗だけならまだしも、肋骨を骨折するなどの痛い失敗も多数収録。あまつさえ、皆様その記憶を殆どなくしており、人から言われて初めて気付いたという、海馬が相当ヤバいことになっているご様子。
寝しなに、トイレで、移動中に。単発のエピソードばかりなので時と場所を選びません。そんな本ですから、読んで笑って、終わりましょう。
良かった、俺より下がいた。
まだまだ私は上品な酒飲み。
ガンマ値って4桁あるんだ。
恩田陸だって一晩で5リットルくらい呑んでるから僕は大丈夫。
いいじゃないですか、そんなちっぽけな安心でも。
あなたの心の中で叶えるならば、気休めの健康補助食品より心にはいいはず。
忘れてしまいたい思い出こそ離れていかず、ちょっとした幸せな思い出は記憶の彼方。けれど幸せの記憶が増えつづけるなら、忘れがたい記憶もいつしか自らの糧として消え去ることでしょう。
全ての人に愛を、そして明日香出版社に祝杯を。
my Bookshelf Yamana
取締役総合統括:山名弘晃
「酔って記憶をなくします」
編:石原たきび
出版社:新潮社
ISBN:978-4-10-133691-6
本体価格:400円