沖縄に住みついて早23年、今ではすっかり沖縄の苗字に慣れ、違和感を覚えませんが(客注欄に「仲村渠」と記入されても笑顔で対応できます)、今回紹介する本を読むことで沖縄の苗字の「何故」をやっと理解することができました。
琉球新報(地元紙)の記事にとても良い紹介がありましたのでここに引用します。
『沖縄の苗字(みょうじ)(姓)は本土とは異なる独特の漢字と読み方を使う。仲村渠、目取真、我如古、大工廻...近代以降「ヤマト世」になり、沖縄の苗字は難読・珍奇なものとして、「改姓改名運動」によって変更が試みられた事実はよく知られている。本書はこれまでありそうでなかった、沖縄苗字の歴史に迫ったものである。
まず著者は苗字そのものの歴史を解説し、沖縄の苗字がたどった歴史を当時の多様な資料をもとにたどる。本土との交流が密になるにしたがい、独特の苗字を持つ沖縄の人々は偏見と差別、生活上での不便を強いられ、本土風の「読み替え」が提起されていく。やがてこの運動は教育界や知識人、県外の沖縄出身者に広がっていき、読み替えだけでなく苗字そのものの改姓まで提起される。だが旧民法下の戸籍法では容易に改姓することはできなかった。このジレンマを抱えながら改姓に涙ぐましい努力をする者、名前をそのまま使い続ける者、さまざまな動向を紹介する。そして沖縄戦で戸籍簿が消失し、その束縛から解放された際、人々はどういう行動をとったのか。この顛末(てんまつ)は本書を読んでほしい。』
少し固めの内容ではありますが、新書サイズで途中挿入された5つのコラムも大変面白い内容となっていますので沖縄に興味のある方はどうぞ。
沖縄ブックボックス
営業本部 久保誠
書名:[ボーダー新書07] 『沖縄名字のヒミツ』
著者:武智方寛(タケチ ミチヒロ)
出版社:ボーダーインク
ISBN:978-4-89982-201-1
本体価格:1050円