3月11日以降、本物志向が強まっているのではないでしょうか。
本物志向とは、明日にも自分が死ぬかもしれないことを悟った人間が、本当にやりたいことをやりたいと、身を絞るようにして切望し、行動することです。
まだはっきりとは言葉にならないけれども確かに体に抱き始めたもやもや感を、どうすればいいのか持て余している人たちも多いのではないでしょうか?
そこでおすすめしたいのが『ケアの本質』です。
著者はアメリカの哲学教授。
しかし、恐れないでください。とっても明解な言葉でしか書かれていません。
訳もよいのでしょう。すらすらと入ってきます。それでいて自分の心にがつがつとぶつかってきます。だから歩みは遅い。しかしその読書体験は、実りの多い旅のようです。
信じられないほど遠く、深くまで、読者をいざないます。どこへ?
それはおそらく、あなたの生きる意味へ。
「ケア」ほど人間的な行いもないでしょう。
産まれてすぐに歩くこともできない人間は、無数の
他者からのケアを受けなければ生きていけません。
東日本大震災でも、支援やボランティアや募金という名のケアが持続して行われています。
多様なケアの本質が、ぎゅっと一冊に詰まっています。
何度でも、その時の自分の成長度に応じて読み直すことのできる、決して古びない名著です。
ぜひ一読を。
リブロ池袋本店
菊田 和弘
書名:『ケアの本質』
著者:ミルトン・メイヤロフ
訳者:田村真・向野宣之
出版社:ゆみる出版
ISBN:978-4‐946509‐117
本体価格:1500円