馬上少年過ぐ
世平らかにして白髪多し
残躯天の赦す所
楽しまずして是を如何にせん
戦国武将 伊達政宗が、老年に桃の花を見ながら詠んだ漢詩だそうです。
白髪頭になるまで、伊達家を守るためにがんばってきた。
そろそろ好きなことをして、余生を送ってもいいだろうという歌だそうです。
30年ほど前、高校生の時にこの本をはじめて読みましたが、伊達政宗の印象は
豪傑の兵法者というものではなく、冷徹な政治家なんだなあというものでした。
ところが先日、我が子が「戦国BASARA」というテレビゲームをやっていて、その画面に
登場する政宗と思しき人物が、片手に3本ずつ(合計6本)の太刀を持ち、
群がる敵をものすごい勢いでなぎ倒してく!
そんな画面に唖然としながら、政宗って
そんな人じゃないんだよと、ちゃんと話しをしてあげないといけないなということでこの本を読み返してみることにしました。
幼少の頃醜い隻眼を片倉小十郎にくり抜かせ、独眼となり、母に疎まれ毒を盛られる。19歳の時には優しかった父を殺すことになってしまう。そんな過酷なお家事情。
その上時代は豊臣から徳川へ。尋常な精神の持ち主では、とても乗り越えられない状況だったと思います。
今読み返して思うのは、司馬遼太郎さんの短編ではなく、長編小説で伊達政宗という人物を読んでみたかったなあと思いました。
しばらく司馬さんの本から離れてしまっていましたが、もう一度一つ一つじっくりと読んでみたいと思っています。
ビッグウィル阿倍野店
ビジネス・雑誌担当
月形 智記
書名:『馬上少年過ぐ』
著者:司馬遼太郎
出版社: 新潮社
ISBN: 978-4101152240
本体価格:620円