今年は、昭和の爆笑王といわれた桂枝雀さんの13回忌にあたる。
もう13年、それでもいまだにファンが多いのは、その強烈な個性を忘れられないからではないか。人間国宝桂米朝さんをして、「天才」と言わしめた昭和の爆笑王の話芸。もう新しいネタは見られないが、CDやDVDにその姿や話し声を聞くことはできる。
今回この本を推薦したい読者は、枝雀さんの声や映像を見たことがある人。頭の中であの言葉、あの仕草を思い浮かべながらこの本を読み進んでいくと、目の前で枝雀さんの寄せを見ている錯覚さえ起こしそうになる。
この本は、枝雀さんの一言一句を再現してくれているところと、要所要所で絶妙な枝雀さんのアクションを入れてくれているのが特徴だ。
往年の枝雀さんファンなら、おきまりの場所で笑ってしまうであろう。
枝雀さん関連では、今年新たに出版される本もあったり、いろんなイベントもあったり、故人を思い出す機会も増えるだろう。
今年はあの絶品の芸に久しぶりに浸ってみたいと思う。
ビッグウィル 阿倍野店
月形 智記
書名:上方落語 桂枝雀爆笑コレクション
著者:桂 枝雀
出版社:筑摩書房
ISBN:9784480421715
本体価格:945円