今回、私
がオススメさせていただくのは、小説家・恒川光太郎さんの最新刊「
竜が最後に帰る場所」(講談社刊)をはじめとした、現在までの全著作品たちです。
作品を通して感じるのは、その奇抜で幻想的とも云える、一種独特な発想と文章力。
近年稀にみる幻想家であり、この分野では他者を寄せ付けぬ"もの"がある、と個人的には大絶賛。
例えば、音楽ならビートルズのよう。変幻自在な文章ラインでありながら、決してファンを裏切らない。あれっ?と思うような物語も、不思議と読み終える頃には納得の着地点にいさせてくれる・・至極簡単なようで、すこぶる難しいことだと思っています。
ビートルズついでに。私は少しだけ、短編集が得意ではありません。ひとつの物語を通じて何かを与えてくれる長編集が、より好みなのです。しかしながら、恒川さんの著作品には短編集が多い。でも、これが本当にすばらしい&美しい!の一言。短編ものが不得意な私すらも、常に凌駕し虜にさせてくれます。3分の中に、色んなものを詰め込んでくれる・・そして一生忘れない文章(メロディ)ラインを放つところ・・等々。まるでビートルズだ!!と、私の中では勝手に処理が進んでおります。 (強いていえば、ホワイトアルバム以降が私の捉えかたなのですが)そして1枚の作品としたときの、これがまた常に、常に良い!!
もちろん、長編作も申し分なくハイ・クオリティ。「
雷の季節の終りに」(角川書店)なんて全編アドレナリン出っ放しです。是非とも読んでいただきたい。
最新作「竜が~」の中では、特に"夜行の冬""鸚鵡幻想曲"の2つが私のオススメ。
特に"鸚鵡幻想曲"は、著者の魅力がすべて詰まった宝箱のよう。
全著作品でいうなら「
秋の牢獄」(角川文庫)。今作品中の表題作"秋の牢獄"が全作品中、私の1番のオススメです。帯にあったように、正に現代の「遠野物語」。
装丁も美しく、読み終えた後には、まるで良い映画を観た幸福さが味わえるはずです。
仕事は想像力が大切。私はそう思っています。であれば、まさに打って付けなのかもしれません。私のビジネスにも、少しは役立っている・・・盛りすぎでしょうか(笑)
日常、仕事やプライヴェートで疲れた身体や脳を、フッと解放・軽くしてくれる魔法のような作品たち。恒川さんの作品を読むとき、心地よく懐かしい気持ちにいつもなれる。
やさしくて温かい、この冬にぴったりなオススメの物語たちです。
ブックファーストアトレ吉祥寺店
岩崎高史
書名:
竜が最後に帰る場所
著者:恒川光太郎
出版社:講談社
ISBN:9784062165105
税込価格:1,575円
前回紹介した「
FUTENMA 360°」に引続き今回も普天間関連書籍を紹介します。
ただ今回取り上げる書籍はかなりハードな一冊です。
著者の森本敏と聞くと、親米保守のイメージがあるた
め個人的には過去の著書はあまり評価していませんが、本書は日米外交、国内の政治問題、沖縄問題の複雑な経緯を裏側も含め、 詳細なデータと綿密な取材から問題の本質をついた力作となっていると思います。
この問題に限らず沖縄で米軍問題はどうしても感情論になってしまい、ことの本質が後回しになってしまうこともあるため、普天間基地問題の発端から現在に至るまでの過去十五年を三期に分類し、その経緯を時系列で客観性を持って書かれた本書は普天間問題を理解する上で重要な書籍の一冊であると思います。
ただ圧倒的なページ数にもかかわらず無理なく読めてしまい、かなりの説得力があるためこれが全てであると思う危険があります。
犯罪が起きたときに実際の被害にあうのは前回紹介した本のなかに描かれている普通に暮らしている人々であり、当然そこに目を向ける必要があります。(個人的にはまず地域協定を見直すことからできないのかと思いますが。)
沖縄からわざわざ森本さんの著作を紹介するのはなぜ、と思われる方もいらっしゃるかと思いますがドキュメンタリーを見ているようなリアルな作品となっていますのでご一読をオススメします。
沖縄ブックボックス
営業本部 久保誠
書名 :
普天間問題の謎
著者 :
森本 敏
出版社 :海竜社
ISBN :
9784759311327
本体価格 :2,310円