沖縄で米軍相手の賭け野球に400勝、負けなしの主人公、天才勝負師・渡久地東亜(とくちとーあ)は、万年最下位プロ野球球団リカオンズの天才バッター児島弘道と出会い、リカオンズ優勝を請け負うことになる。
日本人は野球の技術は小さい頃から教えられているが、勝負の勝ち方となると三流以下だ。
リカオンズのメンバーは、そう言う渡久地に、勝負の厳しさ、勝つこととは、自分の責任とは、と技術面のことより勝利に必要なメンタル面の刺激を受け、変わっていく。本編のストーリーは、この内面的な改革、敵との心理戦、そして駆け引きを駆使したリカオンズがペナントレースを優勝するまでを描いている。
そしてこのストーリーの要所要所で渡久地が口にする名言が、日ごろのルーティンワークで感じるところが少なくなっている私たちに、ガツン!ガツン!と突き刺さる。
汚れた排煙を垂れ流す工場の社長はそのエントツのすぐそばに居を構える。
それが責任をとるってこと」
「勝負に勝つってことは、相手の屍を踏み越えること。けっしてきれいなものじゃない。
それでも勝ちたければ、鬼になれ」
今の不況の中で、つい「しょうがない」と能動的になれない現代人たちは、こういう時にこそ
どんな心構えで今の状況に立ち向かうべきなのかを、真剣に考えないといけないと思う。
ビッグウィル 阿倍野店
月形 智記
著者:甲斐谷 忍
出版社:集英社
ISBN:9784088757995