アラサーだの肉食系女子だの婚活だので、一人が悪いわけではないのに、責められまくってる婦女子の
みなさんこんにちは。
7月のメインイベントである七夕も、普通に仕事してた山名弘晃です。
ああ、ダイジョブ、大丈夫です。
七夕って一年に一度だけの逢瀬と美化されてますが、一説には『織姫の行水シーンを覗いてた彦星が、
見つかった事に逆ギレして天女の羽衣を強奪、返して欲しくば嫁になれと強制結婚。あまつさえ織姫の
親御さんに怒られて、命じられた草鞋を編む仕事すら自分だけで出来ず、織姫に救って貰った』という
実にロクデナシの物語でもありますから、ワンチャンなんか無くて良かったんですよ。実際。
さて、こんな生々しいオトナの物語は夏には合いません。そんなの、みのもんた(本名:御法川法男)に
任せればいいことで、こんな本はいかがでしょうか?というのが今回のアナザー修学旅行。
誰もが経験した中学時代。
思い出せば思い出すほど、恥ずかしくて身もだえする時代ですね。
その中でも一大イベントである修学旅行は、少なからず貴方の胸に刻まれている思い出があるはずです。
友だちとの観光に、ご飯、お風呂、そして夜の恋愛話。失態、失言、けれどときめき。
そんな今なら笑い飛ばせる思い出は、今の貴方を構成している掛け替えの無い経験です。
僕なんか、深夜にエロしりとりをしていて盛り上がってたら、正座させられました。
ですが、修学旅行に参加できなかった人たちは一体どうなってたんでしょうか?例えば足を骨折して
いた、不祥事を起こしていた子、登校拒否児はどうだったんでしょうか?
この物語はそんな修学旅行に参加できなかった6人の生徒が、その期間中に学校で課外授業を受けるお話です。
登場する6人の生徒同士、誰一人知り合いはいない気まずい状態。でも、修学旅行期間である3日間という時間の中、我々大人にとっては些細で地味なことでも、中学生にとってはエキセントリックな出来事が起きる物語です。
全員やや優等生です。少なくとも捩れていません。
けれど、それぞれに特殊な事情がある子供ばかりです。だから大人びてます。
でも、分かるよね、子供は子供同士すぐに仲良くなれるわねって喜ぶオトナを、バカじゃねえの?と睨んでいた自分たちですよ?んなわけねぇっての!
バカで知識不足で純粋なだけ、もっと残酷で繊細だっての!
それを細かに台詞に潜ませる手腕と構成はデビュー作とは思えない技術とパワーを感じました。
まったくノーマークだったんです。ただ題名に惹かれて手に取った本です。それが一気に填ってしまったのです。
この感覚は実に久々で、僕が最初にセカチューを手に取ったときの感触と凄くよく似ています。
売れる。そんな感覚です。
ほこほことした小説です。
読後はネガティブな中学時代を思い出さず、ポジティブな中学時代を思い出す、そんな小説です。
運動会で負けたけど先生に50円のアイスを奢ってもらって歓喜した、そんな夏の日差しが疎ましくって、
でも、眩しかったあの頃の小説です。ぜひご一読を。
マイブックシェルフヤマナ
取締役総合統括:山名弘晃
http://www.yamana.co.jp
書名 :アナザー修学旅行
著者:有沢佳映
出版社:講談社
ISBN:978-4-06-216290-6
本体価格:1,300円