最近では少し、落ち着いてきたものの、ほんの一寸前までは、エライ勢いで売れていた「話し方本」。
そんなに話のが苦手なら話さなきゃいーじゃん、と開き直るようになってくると、周囲の評価は「変人、変わり者、気分や、絵に描いた様なAB型」ということになってくる。
まあ、"突発性人間嫌い"という奴なのであろう。たいして理由もないけれど他人と口を利きたくなかったり、逆に調子に乗って一口多かったりするわけである。
まあ、それで済めば周囲に迷惑をかけて、本人はいたってシアワセということなのだろうが、そうはいかぬ。
家に帰って、反省するわけである。
曰く、「ああ、あの人にあんな素気無い態度をとっちゃった。」
曰く、「あいつに余計なこと言っちゃったなあ。」
ようするにヘコムのである。
こうして"人間嫌い"は年々歳々悪化していくのである。
そんな全国の人間嫌いの皆様に書かれた本が、「人間嫌いの言い分」。
特にこの本の前半部分は、見事に人間嫌いの言い分を代弁している。
『別に友達がいなくてもいいじゃん。不便かもしれないけれども、恥ずべきことじゃない。
むしろ友達が多くなければいけないというのは、強迫観念じゃねーの』
すばらしい、よくぞいってくれた、まったくそのとおり!
人間嫌いからいわせれば、友達が100人や200人もいると主張する奴の気がしれぬ。
本読んだり、音楽聴いたりする時間は、何処にあるんだよ......。
この本の問題点は、後半部分にある。
とにかく人間嫌いをほめすぎるのである。
そんなに良いものじゃないけどネ、人間嫌いって。
本人が言うのだから、間違いない。
やっぱり人間嫌い共通の性癖なのかね、一言多いってのは。
丸善 津田沼店
菅原 淳
「人間嫌い」の言い分
著者:長山 靖生
出版社:光文社
ISBN:9784334032739
本体価格:700円