五年ほど前、父に薦められて初めて読んだ歴史小説がこの本でした。
歴史に疎かったため、後に故ケネディ米大統領が「最も尊敬する日本人」に挙げた程の人物だと知り、
驚いた記憶があります。
あらすじは弱冠十七歳で第九代米沢藩主となった上杉治憲(鷹山)が改革派を組織し、財政再建のため藩政改革に乗り出すという話です。
旧守派の「改革には賛成だけどそれが自分の範囲にまでおよぶのは反対だ」とか「いくら言ってることが正しくてもアイツの言うことには従えない」とかそういった意識の抵抗は現代の政治や経済にもあるんだろうなと感じました。
また、この小説を読むと古い制度や慣習を変革することの大変さがよく伝わってきます。
ただの歴史小説と違い、この小説は随所に改革の手法を現在の経営行動に置き換えて説明している部分があります。
経済小説としての側面も持っているため、ビジネスマンにもお勧めです。
もちろん昨年のNHK大河「天地人」も記憶に新しい今、「上杉家」に興味を持った方にもさらに楽しめる一冊だと思います。
芳林堂書店 高田馬場店
渋谷 一樹
書名 : 小説 上杉鷹山
著者 : 童門 冬二
出版社 :集英社
本体価格 : 1,000円
ISBN :9784087485462