たいへん手前味噌で恐縮ですが弊社が書店さん向けに発行している情報紙『明日香かわら版』で連載中の『世界の街のお店あれこれ』がとても良い内容なので、ここでも少しだけ紹介する次第です。世界中のGMS(総合スーパー)や百貨店を訪問してきた近江淳さん(日本小売業協会元国際担当部長)による連載です。私もたびたび小売業視察ツアーにご一緒し学びを得ておりますが、改めてこの連載からも勉強になり、そして勇気づけられております。
第一話のスチューレオナルド3号店(アメリカ)では『お客様は誰でも100%正しい』をルールにしており、そのルールを店舗入り口に置いてある石に刻みつけているそうです。この話には更にすごい続きがあります。もし自分たちの想定外のお客様が来てしまった場合、お客様が間違った認識をしていた場合にはルール2を読もうとあります。そしてそのルール2を読んだ者は腰を抜かすほどの言葉に驚くのです。なぜならばルール2には「ルール1に戻れ!」としかないのです。つまりどんなお客様も100%正しいという原則論が徹底されるわけです。まさに「そこまでやるか!」という驚きをお客様に与え、同時に信頼を得るのでした。
そして今回書いていただいた10月号(9月お届け)での第2話目はメルカドーナ(スペイン)でした。原稿を読んでいますと、スチューレオナルド3号店と同じような標語『全ての起点は『The Boss』であるお客様』を掲げている点に気づきます。また8000アイテムという同業他社の1/3から1/4の在庫量にも関わらず圧倒的な人気を誇っているという点、従業員を付加価値を創造するイノベーションエンジンと位置付けている点に関心が集まりました。近江さんの鋭い観察力に敬服します。
私たちも読者であるお客様には絶対的な忠誠を尽くさねばなりません。会社さんによってはロイヤリティの高いお客様を囲い込む!という話をよく聞きますが、忠誠を尽くすのは私たちなのだと改めて認識する次第です。「読者が100%正しい」と言い切れる出版社は強いかもしれませんね。