昨日、出版クラブで開催された『本はまだまだ売れる!!―2015年出版業界はこうなる 文化通信社:星野渉さん』に参加してきました。この会には全国から80名もの学生さんが参加していました(その熱意に感心!)。当初、夕方から別な用事があり、セミナー後の懇親会は欠席する予定でした。ただ学生さんの質問熱を受けて、縷々話を聞きたく、懇親会にも参加してきました)^o^(
懇親会では6人の学生さんと話をしましたが、皆さんそれぞれが概ねやりたいことを定めて就活をしているように見受けました。志望先を聞きますと、これまた概ね、否、ほぼ全員が大手志望とのこと。これはこれで良し。とはいえ、中小出版社の代表としては弱者の魅力も伝えてきました、はい。雑な言い方ですが、大手以外の出版社は新卒採用がなく、中途採用が目立つのもこの業界ならではなのでしょう。弊社で言えば、来春は院卒の学生さんが入社予定ですが、一般採用活動を経てということではなく、熱意ある申し出による採用でもあります。
学生さんの声を聞くと、出版社の採用情報・『出版社のお仕事』・求める人材像などの情報を求めているようでした。ということで昨日は、出版社が求める人材像というものを伝えてきたつもりです(しつこいですが、中小出版社の魅力も!)。
ということで、少しでも求めている情報を伝えたく、2014年大晦日に掲載した日記を再度掲載しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2014/12/31『営々黙々』掲載)
『出版社に入るあなたへ (『文化通信 1/1号』寄稿文)』
この業界に興味を持ってくれたあなたへまずは感謝をします。この業界に20年間、特に小規模な出版社を経営している私が自分なりの求めている人材像というのを語ってみたいと思います。
まず弊社は「Be Strong! Be Small!」を標榜しております。その意味は少数精鋭を目指すということです。恐らくどの出版社もこの流れで経営をしております。あなたが将来どの部署でどのジャンルの出版に携わるのかは知りません。でも大切なのは「あたりまえのことをこなせる」かどうかです。
ベストセラーを生み出している出版社で話を伺うと″飛び道具"的な施策はなく、あたりまえのことを地道に飽くことなくやっているということが分かります。働き始めて3年も経つと慣れることができますが、一方で飽きという病にも掛かります。大手では異動もあり新しい業務に触れる機会もありますが、小規模な出版社では10年そして20年と同じ業務を続けることになります。日々の業務の中で飽くことなく業務を遂行できるかがあなたの成長に関わってくる重要なことになります。
例えば採用時に編集者になりたいという声をよく聞きます。ですが編集者になりたいという「職」に憧れ拘る人が作った本は愛情のない作業本になってしまいます。ですから編集者ではなく、企画を愛してほしいと思います。自分で企画を立てて、それを市場に問う。結果が悪ければ編集者は自分の価値を毀損していきます。スリリングでもあり、やりがいのある仕事です。では営業職はどうでしょう。営業部は自社の商品の販売が主ではありません。もちろん自社の利益を度外視はできません。でも弊社のトップ営業マンは、まず書店さんの売上がどうすれば上がるのか?を必死で考えています。ここに愛を感じます。寝食惜しんで稼働する姿に私は尊敬の念を覚えます。ぜひあなたの無限の可能性をもって業界の一翼を担ってほしいと思います。