この業界に興味を持ってくれたあなたへまずは感謝をします。この業界に20年間、特に小規模な出版社を経営している私が自分なりの求めている人材像というのを語ってみたいと思います。
まず弊社は「Be Strong! Be Small!」を標榜しております。その意味は少数精鋭を目指すということです。恐らくどの出版社もこの流れで経営をしております。あなたが将来どの部署でどのジャンルの出版に携わるのかは知りません。でも大切なのは「あたりまえのことをこなせる」かどうかです。
ベストセラーを生み出している出版社で話を伺うと″飛び道具"的な施策はなく、あたりまえのことを地道に飽くことなくやっているということが分かります。働き始めて3年も経つと慣れることができますが、一方で飽きという病にも掛かります。大手では異動もあり新しい業務に触れる機会もありますが、小規模な出版社では10年そして20年と同じ業務を続けることになります。日々の業務の中で飽くことなく業務を遂行できるかがあなたの成長に関わってくる重要なことになります。
例えば採用時に編集者になりたいという声をよく聞きます。ですが編集者になりたいという「職」に憧れ拘る人が作った本は愛情のない作業本になってしまいます。ですから編集者ではなく、企画を愛してほしいと思います。自分で企画を立てて、それを市場に問う。結果が悪ければ編集者は自分の価値を毀損していきます。スリリングでもあり、やりがいのある仕事です。では営業職はどうでしょう。営業部は自社の商品の販売が主ではありません。もちろん自社の利益を度外視はできません。でも弊社のトップ営業マンは、まず書店さんの売上がどうすれば上がるのか?を必死で考えています。ここに愛を感じます。寝食惜しんで稼働する姿に私は尊敬の念を覚えます。ぜひあなたの無限の可能性をもって業界の一翼を担ってほしいと思います。