書籍カテゴリ
ビジネス書
語学
情報板
書評・読者コーナー

自分の思考がダメ社員の思考が多かった。 読んで変えていこうと思えた。
2018:09:04:08:57:03 2018.09.04更新
とても内容が分かり易く、数学的背景についても記されている為、教えるという視点からも理解が深まる1冊と
2018:09:04:08:41:43 2018.09.04更新











明日香出版社について
TOP >>
 「できる!」ビジネスマンの雑学 >>
 IT関連 >>
 [325]AIに革新をもたらしたディープラーニングとは何か
「できる!」ビジネスマンの雑学

[325]AIに革新をもたらしたディープラーニングとは何か

 先日、囲碁のAIプログラム「DeepZenGO」が、趙治勲名誉名人にハンディなしで初勝利したことは、当コラムでもご紹介しました。([320]AIに初めて仕事を奪われた職業とは

 この「DeepZenGO」は、これまで「Zen」として開発されてきたもので、2011年にはアマチュア四段以上の実力と評価されこともありました(※1)。ところが、いざ囲碁のプロ棋士と対局となると、まったく歯が立たなかったのです。

 そこで2016年春、ある技術を導入することで、めきめきと腕を上げ、半年も経たずにハンディなしでプロに勝つまでになりました。

 その導入した技術というのが「ディープラーニング」です。

 ディープラーニング、直訳すれば、深い学習、深層学習・・・。これだけではなんのことやら、わかりませんね。

2016120101.jpg
※有名な「グーグル(Google)の猫」

 ディープラーニングを簡単に言うと、コンピュータに自分で学習させて、その幾層にも蓄積した学習データを利用して正しい答えや判断を行わせる方法です。

 従来のプログラムでは、提示された質問に対して、その判断基準や思考プロセスを人間がまるごと記述して用意していました。
 しかしこの方法では、条件があいまいだったり、幾億通りもの可能性があった場合、用意した判断プログラムでは処理できなかったり、処理が間に合わなくなることがわかってきたのです。
 囲碁で言うならば、次の一手は無限にあるため数手先の最善手を読むことは不可能に近く、プロと対等に戦うにはあと10年はかかると思われていました。

なぜ「囲碁」だったのか。なぜ「10年かかる」と言われていたのか──AlphaGo前日譚
囲碁は、まっさらな盤面に描かれた縦横19本ずつの直線の交差点361個のひとつに先手の黒を打つ。後手の白の打ち方は360通り。最初の一手を互いが打ち終わっただけでも、361×360で129,960通りの盤面のかたちがありうる。
可能な打ち手の数は、そのゲームの「分岐因子」、つまり一手あたりに可能な打ち方の平均数に直接影響する。チェスの分岐因子は35、囲碁は250だ。分岐因子の数が多いゲームは、例えば「ミニマックス」といった古典的な探索アルゴリズムの処理手順に極めて大きな負担がかかる。
WIRED 2016年3月15日掲出)

 このように事象ごとに判断プロセスをプログラムで用意していては限りがあります。そこで、プログラムには蓄積したデータから仮説を立てたり評価を下す能力を持たせることにしました。限りなくたくさん集めたデータ(ビッグデータ)からプログラムに解決策を提示させることで、新たな事象に対して高い確率で正解を導き出せるようになりました。

 たとえば、世界中の医学研究レポートを読み込んだAIのワトソン(Watson)は、この手法により人間の医者では見落とすような病名を正しく診断するまでになりました。この手法は「機械学習」と呼ばれています。(※2)

AI、がん治療法助言 白血病のタイプ見抜く
 膨大な医学論文を学習した人工知能(AI)が、診断が難しい60代の女性患者の白血病を10分ほどで見抜いて、東京大医科学研究所に適切な治療法を助言、女性の回復に貢献していたことが4日、分かった。
 使われたのは米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破った米IBMの「ワトソン」。東大は昨年からワトソンを使ったがん診断の研究を始めており、東條有伸教授は「AIが患者の救命に役立ったのは国内初ではないか」と話している。他にもがん患者の診断に役立った例があるという。
日本経済新聞 2016年8月4日掲出)

 こうしたアプローチから、もう一歩進んだのがディープラーニングです。
 コンピュータに判断材料を蓄積させるために、ニューロンという階層化したデータベースを用意して、そのデータに正しさの割合を当てはめていきました。

人工知能、機械学習、ディープラーニングの違いとは
 たとえば、画像を抽出し、それを多数のタイルに分けて、ニューラル・ネットワークの最初の層に入力するとします。最初の層の個々のニューロンによって2つ目の層にデータが渡されます。2つ目のニューロン層で所定のタスクが実行され、以降、最後の層にデータが渡され、最終的な出力が生成されるまで同様の処理が繰り返されます。
 各ニューロンは、それぞれの入力に対して重み(実行されるタスクに対する正誤の確率)を割り当てます。そして、最終的な出力がそれらの重みの合計によって決まります。
NVIDIA 2016年8月9日掲出)
by Michael Copeland ・ August 9, 2016

 階層化した学習方法には、GPU(画像処理)研究を導入することで、画像や映像を使ったデータ分析までも可能となり、このことによりディープラーニングは飛躍的に効率化されました。

 2012年にアンドリュー・ウン(Andrew Ng)氏がGoogleで成功させた猫にも当てはまります。
 ウン氏の画期的なアプローチとは、そうしたニューラル・ネットワークを利用して、本質的にそれらを大幅に拡大し、層とニューロンを増やして、膨大なデータをシステムで処理することで、システムのトレーニングを行うというものです。ウン氏の場合、それは1,000万本のYouTubeビデオの画像でした。同氏は、ディープラーニングにニューラル・ネットワークのすべての層を表す「ディープ」(深層)を取り入れたのです。
(出典 同上)

2016120102.jpg
※ディープラーニングとは

 コンピュータに画像や動画を「見せ続け」て、それを蓄積する学習方式、ディープラーニングの採用により、より手軽により確度の高い正解を得ることができるようになったのです。

 今ではMRIスキャン画像を使った診断支援、人間を上回るゲームプレイ能力、顔認識や表情まで読み取り可能なセキュリティシステムなど、ディープラーニングによる成果はつぎつぎに現れています。

 近い将来には、ドローンや自動車、ロボットへの搭載が進むことで知能を持つ交通手段やロボット兵士が誕生したり、人の感情を理解したプログラムが感動的な映画やドラマの創作活動を行うこともありえると言われています。(※3)

 ディープラーニングの登場によって休みなく進化を続けるAIが、これからどこへ向かうのか。それは誰にもわかりません。
 ただひとつ言えるのは、AIが正確に判断することはできても、善悪に照らし合わせると、それが果たして正しい行動なのかまではプログラムにはわからないことでしょう。

2016120103.jpg
※AIに倫理の鎖を付けることは可能か

 そのとき私たち人間はどう行動すれば良いのでしょうか。この難問を突きつけられる日は、もうすぐやってきます。(水)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
■関連リンク
※1=「天頂の囲碁6 Zen」(マイナビ BOOKS)

※2=NRI Financial Solutions 「ディープラーニングによる人工知能の進化とそのインパクト」
(デジタルビジネス推進部 上席研究員 古明地正俊)

※3=総務省・資料 「人工知能の未来-ディープラーニングの先にあるもの」(東京大学 松尾豊)


---------------------
「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別
---------------------
ニュースを読む
出来事
本・雑誌
IT関連

食と料理
教育

 IT関連一覧へ 
コメントを送信する
名前
URL

トラックバック
トラックバックURL : http://www.asuka-g.co.jp/mt_sys/mt-tb.cgi/5686
※トラックバック承認制を適用しています。
サイト内検索
google

今月の新刊

絶対に身につけたい 本物の接客
絶対に身につけたい 本物の接客
著者/菊地 麻衣子
定価/1500円+税

営業の鬼100則
営業の鬼100則
著者/早川 勝
定価/1500円+税

人間関係で「うまくやる人」と「つらい人」の習慣
人間関係で「うまくやる人」と「つらい人」の習慣
著者/著:宮松 大輔  監修:あがり症克服協会
定価/1500円+税


CD BOOK 英検(R)2級 8日間で一気に合格!
CD BOOK 英検(R)2級 8日間で一気に合格!
著者/植田 一三:編著  岩間 琢磨/上田 敏子/中坂 あき子:著
定価/1700円+税