IBMが開発し、今もその能力を磨き続けている人工知能「ワトソン」。2016年、この夏には東京大学医科学研究所がワトソンくんの助言を受けて、女性患者の命が救われたことで話題となりました。 人工知能、がん治療で助言 国内初か 白血病のタイプ10分で見抜く 膨大な医学論文を学習した人工知能(AI)が、60代の女性患者の白血病が治療などが難しい特殊なタイプだと10分で見抜き、適切な治療法の助言で回復に貢献していたことが4日、分かった。治療した東京大医科学研究所は「医療へのAI応用に大きな手応えを感じた」としている。 (産経ニュース 2016年8月5日掲出) 実体も人格もないコード(命令文の集まり)の集合体であるAIが、医師の知見を上回るベストな治療を示しました。言ってしまえばただのプログラムの塊にすぎないAIが、人の命にも関わってくるようになったのです。これを素直に喜んでいいものか、少し戸惑いを感じるのは筆者だけではないでしょう。 ところが、AIが診断を下すのが当たり前になる時代が、もうすぐやってこようとしています。 IBMの人工知能「ワトソン」、医者が思いもよらぬ治療法を続々発見 IBMが社運をかけて商用化を進めているAIコンピュータ「ワトソン」が、「医療」をはじめ様々な応用分野で実力の片鱗を見せ始めている。 ●"The New York Times, OCT.17, 2016 (※1) (中略) ワトソンの「自然言語処理」能力は、「クイズ」あるいは「医療」のように特定の領域に絞り込んで、そのたびにチューニングし直せば使い物になる。なおかつワトソンは、人間ではとても処理し切れない大量のドキュメントを読み込んで、膨大な医学的知識を吸収できる。 したがって、「ワトソンを医師のアシスタントとして使おう」とするIBMの発想は、とても理にかなっている。(小林雅一) (現代ビジネス 2016年10月27日掲出) 日本ではワトソンくんに相当する医療AIが、日本語を理解して動き出そうとしています。 医療用ワトソン、日本版開発へ 人工知能で治療法探る 患者の遺伝情報から病気の原因を推定し、一人一人にあった治療法を探る人工知能(AI)の開発に、京都大と富士通などの研究チームが乗り出す。AIの医療応用では米IBMの「ワトソン」が知られる。研究チームが開発を目指すのは、いわば日本版の医療用ワトソンだ。2020年度までに実用化を目指すという。(瀬川茂子) (朝日新聞デジタル 2016年10月6日掲出) ものごとがうまくいきすぎると、ついすべてを任せたくなるのは人情でしょう。しかし、ここはAIに頼りすぎず、なま身のお医者さん達に踏ん張っていただきたいものです。 なんと言っても、AIがいくら仕事ができると言っても、彼(もしくは彼女)に自分が生きている実感はかけらもありませんからね。(水) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ■参考文献・リンク ●"IBM Is Counting on Its Bet on Watson, and Paying Big Money for It" The New York Times, OCT.17, 2016 --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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