◆カメラ、記録メディアに囲まれて生きる現代人 21世紀のIT時代に生きる私たちは、数多くの記録装置に囲まれて生活しています。 たとえば、スマートフォン。小指の爪よりも小さいマイクロSDカードには、動画から音楽まで数十時間~数百時間を記録できます。 また、世の中にあふれかえったドライブレコーダーやケータイカメラが、事故の決定的瞬間を残していることは、今や当たり前という認識です。 一時は設置に反対が多かった街中の監視カメラに至っては、何ヶ月もさかのぼって事故の一部始終や犯人の行動を振り返ることすら可能です。 しかしこうした記録そのものが、これからどのくらいの期間残り続けるのでしょうか。ハードディスクは誕生して数十年、メモリーカードは数年しか経っていません。これらの電子媒体はちょっとした電気ショックで、いともたやすく壊れてしまいます。しかも、壊れたことは外観からはわかりません。 CD(コンパクトディスク)が登場した当初は、この銀盤に音楽は永遠に残り続けるとまで言われましたが、今はその実物を見ることはあまりありません。 残しておきたい貴重なデータも、その記憶媒体の寿命しだい、はやりすたりにも左右されるという至極当たり前のことを誰が予想したでしょうか。 人間のたゆみない努力をあざ笑うかのように、時としてとてつもなく長い時間を経た記録が、地球から見つかることがあります。 ◆自然が用意した記録装置、泥地に残された足跡 古代人の謎の足跡400個超、年代と成因が明らかに アフリカに暮らすマサイが「神の山」と呼ぶ火山から15キロほど離れた地点に、人類の足跡が状態よく大量に残されている。これまで謎とされてきたその年代が、1万9000年前から5000年前のものであることが9月28日付けの学術誌「Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology」に発表された。 400を超える足跡は、テニスコートよりも若干広い程度の範囲に散らばっている。場所はタンザニア、ナトロン湖南岸のエンガレ・セロにある泥地。これほど多くのホモ・サピエンスの足跡が残っている遺跡は、アフリカには他にない。(参考記事:「全長3万3000キロ 人類の旅路を歩く」) なかには、時速8キロ以上という小走りほどの速さで泥の上を複数の人間が駆け抜けたことを示唆する足跡があった。また親指の形がやや変わったものもあり、これはおそらく指に怪我をしていたのではないかと推測される。 その他、主に女性や子供からなる12人ほどのグループが、一斉に南西の方角に向かって歩いたような足跡も見られる。エンガレ・セロの泥の上には、彼らが一歩踏み出すごとにその足から落ちた泥のしずくの跡までがくっきりと残されている。 (National Geographic日本語版 2016年10月13日) ◆古代のライブカメラが今に伝えるもの 短くとも5000年前、長くて約2万年を経たヒトの足跡。歩いた当人達にとっては、ある日の何気ない歩行であり、何気ない一瞬だったに違いありません。 ある意味では、これは人類が歩く姿を記録したライブカメラ、動画テープといっても言い過ぎではないでしょう。 今後の研究によって、歩き方や足の形などから、人類が進化してきた過程、一緒に歩いた仲間との交友関係など、当時の暮らしなどもわかるかもしれません。 古代人が残した足跡。今後の研究が楽しみですね。(水) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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