◆静かすぎるHV車に走行音 自動車メーカーはいかに騒音を出さずに自動車を走らせるかを競ってきました。幹線道路沿いの住民にはただの不快な音に過ぎないエンジン音や走行音は、自動車メーカーにとって、とりのぞくべき重大な課題でした。 モーター駆動のHV車の誕生により、その問題が一挙に解決したかに見えた矢先、意外な展開となりました。国土交通省が電気駆動の自動車にガソリン車と同等の走行音(いわゆる騒音)を付けることを義務づけたのです。静かすぎるHV車 あえて走行音を 長年、快適さと効率を求め、各社が激しい競争を繰り広げてきた自動車の開発。それと比例するように自動車の走行音が「静か」になってきていることを実感している人も多いと思います。 こうした中で国土交通省は、ハイブリッド車(HV車)や電気自動車は走行音が静かすぎるとして、ガソリン車と同じレベルの走行音を出して周囲に接近を知らせる装置の取り付けを義務づけることを決めました。 一見、時代の流れに逆らうかのように見える、この義務化の背景に何があるのか報告します。(中略)特に不安感じてきた視覚障害者 車の"音"が聞こえるか否か、このことがとりわけ重要なのが視覚障害のある人たちです。「車の音に気がつかず、ひかれそうになったことがたびたびある」。徳島市に住む望月健太郎さん(37)は取材に対し、こう答えました。(NHK NEWS WEB 2016年10月12日)◆おじいさんのランプとは違っていた歴史 同じようなケースに、文明開化を象徴する電気の明かりがあります。行灯や灯油ランプの灯りは、時に火事の原因になるとわかっていても、夜間の照明として有史以来、長らく使われてきました。 エジソンが電灯を発明して以降、火の気がないから安全という触れ込みで、白熱灯が一気に普及しました。 その経緯は童話「おじいさんのランプ」(新美南吉)などでよく知られています。 ところが、ドッコイ。この文明の利器も絶対に安全というわけではなかったのです。安全どころか、屋根裏の配線をネズミが齧ったり、自然に漏電を起こしたりと、火の不始末とは次元の異なるやっかいな火元となりました。 1890年、日本初の国会議事堂(帝国議事堂)が建設されましたが、漏電のためわずか2カ月で焼失しています。 これを受けて電灯の需要は一気に消え失せ、当時の電灯会社は一時、存亡の危機に陥ったほどでした。史実と「おじいさんのランプ」とではずいぶん違った展開だったのですね。◆騒音の導入は賢明な選択か、それとも愚者の選択か 世の中が大きな技術革新を迎えたとき、必ず巻き起こる社会との軋轢(あつれき)なのか。それとも当然の予防策なのか。 せっかく静かな交通手段を手にできるチャンスに、ガソリンエンジンの騒音という過去の慣例を持ち込んで解決することが、果たして賢明な解決策でしょうか。 いまいちど考え直していただきたい問題です。(水)「たま電気自動車」 YouTube動画(日産自動車)(筆者のおじいさん達が飛行機作りを諦めて開発した電気自動車)「たま電気自動車 試乗」 YouTube動画(今でも走るようです)---------------------「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別---------------------〇ニュースを読む〇出来事〇本・雑誌〇IT関連〇旅〇食と料理〇教育