江戸時代の美術を代表する浮世絵は、江戸後期から明治期にかけての当時の人に見て楽しむ娯楽品として、また世情を伝えるメディアとして、広く流布(るふ)していました。そして驚いたことには、大部分は貼り紙として再利用されるか、現代の新聞や雑誌と同じく、捨てられていたのです。 ちょうどそのころ、日本では陶磁器がヨーロッパへの主要な輸出品でした。輸出業者たちは陶磁器を木箱に収めるとき、緩衝材として手近にあった浮世絵やかわら版を隙間なくつめこんで、船便に・・・。 それを知らないヨーロッパ人達は、届いた荷物を開けてビックリ玉手箱。オーダーにない多色刷りの美しい謎の絵画(木版画)が、山ほど出てきたのですから。 ここからヨーロッパの芸術家たちのすばらしい妄想が始まります。 えっ、日本人はこんなスゴイ絵画に囲まれて暮らしているの。日本人は芸術品の絵画も使い捨てなの。 おれもいつか日本に行きたい。 おれもいつか日本で生活したい。 おれなんか、日本人にナリターイ。 ジャポネーゼ、ジャポニスムの誕生です。 マネ、ドガ、ロートレック、ゴッホ、ボナールなどの画家たちは、浮世絵に表現された大胆な構図、シンプルな線描、平面な彩色に魅了され、つぎつぎと自分たちの技法に採り入れていきます。 さて、浮世絵を無料で楽しめる資料館、川崎・砂子の里資料館(かわさき・いさごのさとしりょうかん)が、この9月をもって休館となります。 「浮世絵管理は限界」...砂子の里資料館、休館へ 川崎市南部の文化拠点として、川崎の歴史や文化を発信し続けてきた「川崎・砂子の里資料館」が、9月18日から休館する。斎藤文夫館長(88)が自宅に併設し、地元ゆかりの浮世絵を無料公開するなどして、根強いファンを集めてきたが、館長の体力的な問題や年1000万円を超える運営費負担もあり、自宅の建て替え時期に合わせて休館を決めた。今後は所蔵品の新たな活用方法を模索するという。 (ヨミウリ・オンライン・カルチャー 2016年08月20日) (「木曽街道六十九次之内 妻籠 安倍保名 葛葉狐」 作・歌川国芳) 末永く鑑賞することを考えていなかった浮世絵は、原色を保ったまま保存することは、とても難しいのでしょう。 閉館前にぜひとも足を運びたいです。(水) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 川崎・砂子の里資料館 (かわさき・いさごのさとしりょうかん) ※開館時間 午前10:00~午後5:00 休館日 展示期間中の日曜・祭日 入場無料 京急川崎駅より徒歩約4分 JR川崎駅より徒歩約7分 ☆9月の展示☆ 歌川国芳晩年の大作「木曽街道六十九駅」 9月5日(月)~9月24日(土)(注意・18日から休館) ※展示期間中の日曜・祝日は休館 (公式サイトより引用) --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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