「ボンカレー」といえば、誰もが知っているインスタント食品です。その誕生は1968年、世界で初めて市販されたレトルトカレーといわれています。 有名タレントやスポーツ選手を起用した大がかりなテレビコマーシャルで、全国的な知名度も高く、コンビニやスーパーでも発売されています。 ところがここにきて、発売元の大塚食品ではこれまでのテレビCMをきっぱりとやめてしまったそうです。 脱マス広告!それでも売り上げを伸ばす「ボンカレー」の戦略 48年目を迎えた大塚食品の「ボンカレー」が好調だ。 (中略) この好調さは、マス広告を大量に投下した効果なのだろうか? いや、実はその逆だ。大塚食品はここ数年、ボンカレーのテレビCMを打っていない。それでも売り上げ増を続けているのは、ウェブ媒体などを通じて"話題性"を届け続けているからだろう。 「2013年に"電子レンジ対応"したボンカレーをリリースしました。その際にテレビCMをかなり打ったのですが、ほとんど認知されませんでした。以降、ボンカレーのPR戦略はマス広告ではなく、"話題性"を前面に出す戦略に切り換えました」と、大塚食品 製品部 レトルト担当プロダクトマネージャー 垣内壮平氏は明かす。 (マイナビニュース・経営ビジネス【レポート】 並木秀一 2016年7月9日掲出) 2013年のテレビCMが、広告戦略をマス広告から切り替える契機だったと言うことですから、わずか3年前の事です。 一般的に今までの広告を止めてしまうと、その商品の売り上げは大きく落ちると言われています。 「広告出稿を減らす=>認知度が下がる=>売れ行きが落ちる=>広告費を減らす=>さらに売れなくなる」 このような「負のスパイラル」にいったん陥ると、売り上げの回復は難しくなります。 テレビCMを止めることは、宣伝担当者にとって勇気のいる決断だったと思われます。それでもあえて実行できた理由は何だったのでしょうか。 おそらく「ボンカレー」が日常的に愛好されていた食品だったおかげで、テレビCMの有無に左右されず堅調な売り上げを維持する「強い商品」に育っていたからと考えられます。そうは言っても類似商品もありますから、いつかは他社に取って代わられる心配はあります。 もうひとつ理由があります。2013年に打ち出した新機能がテレビCMでは伝わらなかったという出来事。なにが原因だったのでしょうか。 筆者の推察ですが、あまりにも親しまれていて「いつものテレビ広告」としか認知されていなかったのではないか。つまり、消費者はテレビCMから内容を理解しようという受け取り方をしていなかったと考えられます。 こうした気づきがあったからこそ、内容に関心を持ってもらえる「話題性のある広告作り」への転換ができたのではないでしょうか。 内容をじっくりとみてもらう広告手法。それは「詳しくはWEBへ」の言葉の通り、ネット広告への転換を意味しました。 しかし、ネット上の「話題性」だけで、従来のマス広告を肩代わりできるのか。Web広告にシフトして売り上げを維持できる保証はどこにもありません。 その答えの一つが、コラボレーションによる話題提供でした。宮崎県が推進する「日本のひなた宮崎県」運動との協業から「ご当地コラボ ひなたの恵み ボンカレー」を生み出しました。(2016年7月発売開始) ※【宮崎県×大塚食品(株)初のご当地コラボ】ひなたの恵み「ボンカレー」辛口 (みやざき県産品オンラインショッピングより) マス広告に比べると、何倍もの手間と時間がかかるようになったはずですが、「ボンカレー」は売り上げを伸ばしているとのこと。 ネット時代の広告手法やマス広告とWEB広告の連動など、いまだ試行錯誤が続く広告業界ですが、広告スポンサー側から貴重な一石が投じられたと思います。(水) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ■参考リンク みやざき県産品オンラインショッピング --------------------- 「できる!」ビジネスマンの雑学 ジャンル別 --------------------- 〇ニュースを読む 〇出来事 〇本・雑誌 〇IT関連 〇旅 〇食と料理 〇教育 |
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