10センチ足らずの小さなガラス器が、1700年の時を超えて、帝政ローマ時代のロマンを今に伝えています。 このほど天理大付属天理参考館(奈良県天理市)では、所蔵するガラス器「円形切子碗(きりこわん)」の成分を分析したところ、紀元4世紀頃の帝政ローマ時代の作品ではないかとの結論が出ました。 さらに正倉院宝物にあるガラス器「白瑠璃碗(はくるりのわん)」は、この「円形切子碗」に形状がよく似ていることから、同様にローマ文化の影響を受けた作品であることが考えられるそうです。 また、この時代の同様のガラス器は他にはなく、世界で現存するのはこの一点のみと言われています。 (「円形切子碗」・天理大付属天理参考館ご提供) 円形切子碗 正倉院「白瑠璃碗」ルーツはローマ? 天理参考館所蔵の類似の碗分析 /奈良 1~4世紀の地中海域成分と一致 天理大付属天理参考館(天理市)所蔵のガラス製品「円形切子碗(きりこわん)」が、1~4世紀の帝政ローマ圏で作られた可能性があることが参考館などの科学分析で分かった。この碗は、6世紀ごろのササン朝ペルシャ(現在のイラン付近)製とされる正倉院宝物「白瑠璃碗(はくるりのわん)」との類似性が指摘されており、参考館は「宝物のルーツがローマである可能性がある」という。同館は25日~6月6日、円形切子碗を特別展示する。 (毎日新聞 2016年05月25日 掲出) 1700年昔の4世紀、爛熟期のローマ帝国でこの器を手にしたのはどんな人なのか。この器に注がれたのはワインか、それとも食べ物か。 またどのような経緯で、はるばると日本まで運ばれてきたのか。日本では誰に愛用されたのか。 たったひとつのガラス器ですが、写真を見ているだけでも、想像は果てしなく広がっていきます。 奈良県天理市にある天理大付属天理参考館では、このガラス器を6月6日まで特別展示しています。 (展示の模様・天理大付属天理参考館ご提供) この機会にぜひ足を運んで、いにしえローマ帝国のロマンをご鑑賞ください。(水) ---------------------------- ■展示のご案内 「世界の考古美術」常設展 オリエントコーナー (天理大付属天理参考館3階) 期間:2016年6月6日(月)まで 開館時間:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで) 交通:JR桜井線天理駅・近鉄天理線天理駅下車 天理大学より徒歩約2分 ■参考リンク 天理大付属天理参考館(奈良県天理市) ブログ「布留川のほとりから」(2016年5月23日) 正倉院宝物白瑠璃碗の原型を発見! |
ニュースを読む一覧へ |