新パナマ病問題・・・といってもあの機密文書の話ではありません。いま世界中で、バナナの木を枯らす「新パナマ病」が猛威をふるっているのです。 この「新パナマ病」への対策が見つからなければ、いずれバナナは気軽に食べられなくなるか、最悪の場合、バナナは絶滅するかもしれないという恐ろしい未来が待ち受けています。 昨年、まだメディアで報道されていない頃に、当コラムで取り上げています。 [193]バナナよ、わが身に迫る危機をどうする 日本のバナナ消費の9割を担うフィリピンでも感染が拡大しています。 バナナが食卓から消えるおそれ 病気の感染拡大 世界中で感染が広がっているのは、カビの一種である病原体によってバナナの木が枯れてしまう「新パナマ病」と呼ばれる病気で、一度かかると治らないため、バナナの「不治の病」とも言われています。 バナナの歴史は実は病気との闘いでした。100年余り前に中米のパナマ周辺で確認され、その後、世界中に感染が広がったバナナの病気は「パナマ病」と名付けられ、当時、流通していたバナナはほぼ絶滅しました。現在、流通しているバナナは「パナマ病」にかかりにくい品種として開発されたものですが、さらに感染力の強い「新パナマ病」が新たに現れ、世界中に広がっています。 (NHK NEWS WEB 2016年5月17日) では「新パナマ病」とはどんな病気でしょうか。 News Up バナナ脅かす「新パナマ病」 その正体は (NHK NEWS WEB 2016年5月17日) 単一品種の大量生産という大規模プランテーション方式は、生産者にとっては効率が良いのでしょう。しかしこの生産方式が始まって、たかだか数十年~百年弱です。植物にとって恒久的に耐えられる生育方式ではないのかもしれません。 すでに、カカオやコーヒー、胡椒などは、椰子・ゴム・マホガニーなど、さまざまな植物との混栽方式を取り入れています。というより、熱帯雨林のジャングルを元の姿に戻すことで、植物の活力を取り戻しています。栽培面積の単位あたり生産量は減少しても、継続できる栽培方法を模索する時期にきているのかもしれません。 (「2-1=0」 筆者がベトナムのジャングルで見つけた警鐘パネル) これは筆者の勝手な想像かもしれませんが、以下のレポートが示唆していることと「新パナマ病」とは似通ってはいないでしょうか。 熱帯雨林に挑む日本人移民 血眼で換金作物を探していた移民たちはこぞって胡椒栽培に乗り出し、大戦後の50年代にブームがやってきた。トメアスー産胡椒が欧米のスパイス市場を席巻、胡椒は「黒いダイヤ」と呼ばれ、入植地に「胡椒御殿」が建ち並んだ。 しかし、繁栄は長くは続かない。70年代に危機がやってきた。根腐れ病が広がり、胡椒の大半が立ち枯れてしまったのだ。移民たちはどん底に突き落とされた。 (NGOブラジル人労働者支援センター 筆者:眞砂 睦 2012年9月7日掲出) 「新パナマ病」をただの流行り病ととらえるのか、それとも植物たちからの警告ととらえるのか。本当のことは誰にもわかりません。 ひとつだけ確かなことは、利益優先、効率至上の資本主義が誕生して数百年。この地球に何十億年も生きてきた植物たちには一切関係がないことです。(水) |
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