これからクリスマスが近づくにつれ、バターは今年も雲隠れしそうです。
農水省は今年の夏前に言っていました。今年はどんどん輸入するから、バターが不足することはないでしょう、と。
5月27日コラム:[059]何ともならない日本のバター不足
そして、今年のクリスマス・シーズンがやってきました。スーパーのバター売り場はどうなっているでしょうか。筆者の観察ですが、週の2日はバターはありますが、残りの5日間、棚はカラのままです。入荷日を逃した人がバターを買えない状態は、今も続いています。農水省が約束していた輸入規制の緩和は、ただのはったりだったのでしょうか。
今年も「消えたバター」...輸入・生産増のはずが
クリスマスが約2週間後に迫る中、ケーキや菓子の材料として欠かせないバターが品薄となり、一部で手に入りにくい状況が続いている。
今年は乳業メーカーが増産し、政府が緊急輸入を行ったことにより、計算上は供給量が需要を上回っており、関係者は「バターはどこに消えたのか」と首をかしげている。
(ヨミウリオンライン・経済 2015年12月12日掲出)
■毎度おなじみの、バター雲隠れの術
毎度繰り返されるバター不足。その原因の解明に、首をかしげる関係者がようやく重い腰をあげるかもしれません。ただし、腰を上げる準備は、来年の6月以降になりそうです。
バターはどこへ消えた? メーカーと小売店食い違い
規制改革会議
年末のクリスマスシーズンを控え、今年もバターの品薄が問題になっている。政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は2日開いた会合で、大手乳業メーカーからバター需給の現状を聞き取った。担当者は「在庫は十分にあるはずだ」と話し、不足を訴える小売店などとの食い違いが浮き彫りになった。
(中略)
国内の生乳需給の調整弁としてバターを国家貿易で輸入する農林水産省は「緊急輸入でバターの供給は十分だ」と主張している。一方、バターを使う「川下」からは「毎年、緊急輸入したバターの数量と市場に出回る量はかけ離れており、一体どこにあるのだろうというのが業界の疑問だ」(全日本洋菓子工業会)との訴えが出ている。
バターはどこにあるのか。農水省などは「高値を狙って流通段階で在庫をためている業者がいるのでは」と疑う。原料である生乳をつくる酪農家の減少や、複雑な流通制度によって生産が一部メーカーに偏っているという構造問題もありそうだ。規制改革会議は流通経路や供給体制をさらに点検し、来年6月をメドに解決策をまとめる。
(日本経済新聞・経済 2015年12月2日)
奥様方の2個買い、3個買いが原因だと、消費者の買い占め論を唱えた農水大臣もいました。しかし、どこの店でも「お一人様1点限り」の注意書きがある今、バターを2つ以上持ってレジに並ぶ強心臓は、誰も持ち合わせませてはいません。
規制改革会議では、流通の途中でバターが消えていることが、ようやくわかったといいます。
まるで軍政が敷かれた戦時中か、ソ連末期のスーパーもびっくりな事態です。
IT業界が自慢するビッグデータを解析すれば、流通のどこで抜かれているかわかりそうなもの。「複雑な流通制度」を改革する可能性はあるのでしょうか。政府や関係者にそこまでのやる気は、このニュースからは感じられません。
消費者はこの数年、バターの価格つり上げや減量、個数制限などさんざんな目にあわされています。
食の自給率を上げましょうと、広報する農水省ですが、バターは自給率どころか、棚にすら並ばない現状をどう弁明するのでしょうか。
いっそアマゾンさんに、バターの生産と流通、販売までまるっとお任せしたら、という声さえ聞こえてきそうですね。(水)
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